プライベートの喫煙を会社が就業規則で禁止できるのか

世間の喫煙者への圧力の高まりに伴って、企業における喫煙のルールも厳しくなる一方の昨今ですが、最近その中でも一歩踏み込んだ企業の施策が話題になりました。SCSK、懇親会も喫煙NG 就業規則に追加 http://www.nikkei.com/article/DGXLZO10246770S6A…

<シャープ買収>40歳以上が拒否される雇用システムを支持してきたのは誰か

シャープが台湾企業ホンハイの傘下に入ることが決まり、ホンハイは買収の条件として「40歳以下の従業員の雇用の維持を約束」していると言われています。つまり、40歳を超える従業員の雇用は一切保証されないことになりますが、これはホンハイが血も涙もない…

「定年制の廃止」できる会社とできない会社

ジョイフルが定年制を廃止するというニュースがありました。ジョイフル:正社員60歳定年制廃止 パートも雇用継続 - 毎日新聞 以前から定年制を廃止する企業のニュースはたまに見かけますが、定年廃止は企業にとって非常に勇気のいる決断です。定年廃止は、…

マイナンバーで副業バレたからといって会社はクビにできるのか

マイナンバー制の導入に伴い、副業がバレてみんな大変だという記事をよく見かけますね。マイナンバーが原因ではたして本当に副業がバレるのかに関しては多くの記事で言及されているようなので、ここではあえて触れません。それより個人的に気になるのは、「…

「代休を繰り越す」「振休がたまる」は法律違反なのか

休日出勤の多い会社からこんな相談を受けます。「代休がたまってすごい日数になってしまった。今さら買い取るのも難しい。どう消化させたらよいのか。」こうした質問を受けたとき、まず最初に確認することは、代休がなかなか取れないのはいいとしても、休日…

三六協定を結ばない本当のデメリット

最近メディアで名前を見かける「かとく」(過重労働撲滅特別対策班)が今度はドン・キホーテを摘発して労基法違反で書類送検したそうですが、個人的に気になったのは違反の内容です。http://this.kiji.is/65377333893840902?c=39546741839462401 労使協定で…

労働審判で会社が覚悟すべき支出額

普段私は、本業である企業の労務管理サポートを行う他に、労働者個人からの労働問題・労働トラブルに関する相談を受け、社会保険労務士として可能な範囲で支援を行うことがあります。昨年(平成25年)は、年間で約150件程度の労働者からの相談に対応し、そし…

営業職の残業代リスクが上昇<事業場外みなし・阪急トラベルサポート事件最高裁判決>

営業職などの外回り・外勤社員に対して残業代を支給しないという会社は少なくないと思われますが、支給しない法的根拠は何でしょうか。営業手当が出ているから? 成果主義だから?そんなことが法的根拠にならないことはいうまでもありません。 営業職に対し…

万引き被害額の従業員負担はアリなのか

小売業の業界では自社店舗で万引きが発覚した際に、被害額を当日の従業員の頭数で割るなどして従業員に損害を負担させる会社もあります。不注意に関する連帯責任ということなんでしょうが、そもそもこのような行為は法的に認められるのかどうか疑問に思う方…

インフルエンザと休業手当(休業補償)の支払義務

ここ最近またインフルエンザが流行しています。 インフルエンザに感染して会社を休んだ場合、休業手当の支払い義務の有無が問題になるところです。インフルエンザで会社を休んだ場合、一般的には年次有給休暇を充てるケースが多く、この場合には休業手当の問…

本社以外の離れている場所では応じないという団交拒否は不当労働行為

不当労働行為に関する今日のニュース。「ゲオが不当労働行為、府労委認定 労組との団交拒否」 http://www.47news.jp/CN/201401/CN2014013001001029.html 命令書によると、組合は昨年1〜2月、大阪市内の店舗で働くアルバイトの勤務時間に関し、大阪市内で団…

従業員が交通事故を起こした場合の会社の責任とその対応

従業員が交通事故を起こす場面においては、・社有車 or マイカー ・業務中 or 通勤途中 ・物損事故 or 人身事故等の様々なケースが想定されますが、いずれにしても従業員本人だけではなく会社の責任も発生し得るという点に注意しなければなりません。 会社の…

オフィスの全面禁煙化は不利益変更にあたるか

以前の記事で「喫煙者を採用しない企業」について触れましたが、タバコ関連の話題をもう1つ書きます。 平成15年の健康増進法の施行に伴い、企業にも受動喫煙防止の努力義務が課せられ、厚生労働省が発表する「職場における喫煙対策のためのガイドライン」に…

誓約書は退職時ではなく入社時に提出させる

「労働者が会社を辞めた後も、守秘義務や競業避止義務を課したい」そう考えて労働者が退職する際に誓約書を書かせる企業は少なくありません。 しかしです。 労働者が誓約書の署名を「嫌だ」と拒否したら、その会社はどうすればよいのでしょうか。結論からい…

「業績が悪いので退職金払えません」はアリなのか

退職金制度を作ったり見直しを加えたりする際にこう相談されることがあります。「会社の業績が悪い時は不支給とするルールにできないか」つまり賞与と同じようにしたいということです。 通常、就業規則の賞与の条文には以下のような記載があるはずです。「会…

労働基準監督官の現実<ダンダリンを視聴して>

日本テレビ系連続ドラマ「ダンダリン 労働基準監督官」の第1回オンエアを見ました。一般的に馴染みのない労働基準監督官という職業についてそれなりに具体的に表現できていたように思います。以下、ドラマでやっていた内容について、実際はどうなのか、個人…

「残業代ゼロ」特区という報道の違和感

企業が労働者を解雇しやすくして、さらに労働時間規制を緩和し残業代をゼロにすることも認められる特区の法案が秋の臨時国会で提出されるという報道があります。一定の年収以上の労働者、高度で特殊な能力・専門的な技術を持ち法規制にとらわれずに思い切り…

変動の多いパートタイマーの有休(比例付与)の基準

年次有給休暇は、雇い入れから6ヵ月間継続勤務し、全労働日の8割以上を出勤した労働者に対して10日間が付与されますが、所定労働日数や労働時間の少ない労働者(つまりパートタイマー)であっても、その労働日数に応じた日数の年休が付与されることになりま…

解雇の金銭解決ルールは労働者にとってはたして損なのか

解雇金銭解決制度の議論に関するこんなニュースがあります。解雇補償金制度が導入されると「カネさえ払えばクビ」にできる?(週プレNEWS) http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130828-00000427-playboyz-soci 「制度化されれば解雇解決金の水準が…

休職期間を安易に延長すべきではない

休職制度は解雇リスクを避ける意味でも企業にとって大変重要な制度ですが、悩ましいのは休職期間の終了時期が近づいてきた復職間際のところでしょう。本人の復職の意思を確認し、意思アリであれば職場復帰可能を証明する主治医の診断書を提出してもらい、さ…

「労基法違反=ブラック企業」という定義付けでは規制は無理です

政府が法令違反が疑われる4千事業所に立ち入り調査をすると発表しました。 ブラック企業の対策強化 厚労省、4千事業所立ち入りへ(2013年8月8日朝日新聞) http://www.asahi.com/business/update/0808/TKY201308080082.html 若者の使い捨てが疑われる「ブラッ…

「ブラックバイト横行」アルバイト基幹化に思うこと

随分久しぶりの更新となります。私の業界では6月・7月が繁忙期なのですが、あまりの繁忙ぶりに全くブログの更新ができず、繁忙期の余韻を引きずって今日にまで至りました。今年の後半に向け巻き返しをはかっていきたいと思います。 さて、本題に入りますが、…

諭旨退職が退職勧奨と混同されている?

諭旨退職についての相談を受けていると、「もしや退職勧奨と混同しているのではないか」と感じる時があります。いうまでもなく、諭旨退職と退職勧奨は法的に全く別物です。 「諭旨退職」とは、不祥事を起こした懲戒解雇処分相当である労働者に対し、「反省の…

身元保証書の注意点および身元保証人の責任の範囲

企業で人を採用する際、特に正規雇用社員の入社に際して身元保証書の提出を義務付けている会社は少なくありません。この「身元保証」とは、従業員の行為によって会社が損害を受けた場合に、身元保証人がその損害を賠償するという内容の契約であり、会社と身…

なぜ始末書が必要なのか(始末書の法律実務)

労働者が不祥事を起こした時に始末書をきちんと提出させない会社が見うけられます。私は関与先の会社には必ず始末書をとるようにお願いしています。労働者に始末書を書かせることは法的にみて非常に重要な意味があるのです。 始末書を提出させる目的とは何で…

「限定正社員」をめぐる大いなる誤解

ここ数週間、ニュースで「限定正社員」という雇用形態についての報道が多くなってきたようです。政府の規制改革会議が推し進めているようです。夏の参院選を考慮して安倍政権が「解雇規制緩和」政策を見送ったのでその代わりということでしょうか。「限定正…

喫煙者を採用しない企業に入社した後、喫煙が発覚した場合の解雇は認められるのか

以前、星野リゾートの「喫煙者を採用しない」という方針がニュースで話題になりました。ウェブサイト上の採用ページで応募者の喫煙の有無を確認し、元々喫煙をしない場合か、もしくは禁煙を誓約することを選択しなければ採用選考に進むことができないという…

入社前研修の賃金・労災その他取扱い

採用内定者向けに入社日前に研修を実施することがありますが、賃金は支給すべきなのか、支給する場合の金額はどうするのか、労災は適用になるのかといった質問を受けることがあります。 入社前研修について賃金支払いが必要になるかどうかは、基本的には研修…

ブラック企業は社名公表よりも労基法違反取締強化によって減少するという意見は見当違い

自民党が最近メディアで話題になっている「ブラック企業」について、社名公表などの措置を政府に提言する方針を固めたという報道があり、ネット上ではこの件について様々な意見がみられます。その中でよく目にするのが、「なぜ企業名公表なのか。企業に労働…

<解雇規制緩和論>人員整理と戦力外通告が混同されているのでは

昨日の記事に引き続きですが、最近の解雇規制緩和の報道について、様々なものがごちゃ混ぜに論じられている為に感じる違和感を書きたいと思います。解雇規制の緩和とひと口に言っても、企業の業績不振の際に雇用調整をはかるために行う整理解雇と、労働者の…