請負・業務委託と直接雇用(労働者)の判断基準

企業は雇用リスクを回避する手段として、雇用契約ではなく請負(業務委託)という法形式を使うことがよくあります。雇用リスクとは・ 社会保険などの加入義務 ・ 労働基準法等に定められた義務(残業代、有給休暇、最低賃金、安全衛生など) ・ 解雇した場合…

「みなし残業」という訳の分からない制度

会社員の方がこう話すときがあります。「うちの会社はみなし残業制だからいくら残業しても決まった額しか残業代が出ない。」労働法的に考えると、筋の通らない話です。というのも、労働基準法その他の法律に「みなし残業」などという言葉はありません。まさ…

高年法改正 違反企業の企業名公表で何かが変わるのか

65歳までの全員継続雇用を義務付けた今回の高年齢者雇用安定法の改正点の中に、義務違反企業に対する「企業名の公表」というものがあります。これまで違反企業に対しては、行政当局による助言・指導・勧告までしか行われず、実態は違反企業だらけだったので…

TBS「みのもんたのサタデーずばッと」TV出演しました<高年法改正について>

平成24年9月15日(土)放送TBS「みのもんたのサタデーずばッと」◆定年後も希望者全員雇用を義務づける法律が成立!その光と影とは?◆テレビ出演させて頂きました。具体的には、来年4月から施行の改正高年齢者雇用安定法の弊害についてコメントしました。 こ…

契約社員はもはや「いつでも切れる」労働者ではない<雇止め法理の法定化>

労働契約法改正について、ニュースなどで話題になっているのは、5年超えた場合の無期転換の話ばかりのように感じますが、実際のところ無期転換ルールは企業の意識に影響を及ぼしません。実は無期転換ルールは重要ではありません。企業にとって必要な人材であ…

定年再雇用後の労働条件をどう定めるか<高年法改正>

来年4月の改正高年齢者雇用安定法の施行に備えて各企業は賃金体系や就業規則を見直す必要があるのは当然ですが、60歳以降の労働条件をどう設定するかという点は非常に重要になってきます。これまでもそうでしたが、基本的に定年再雇用後の労働条件に関しては…

日々紹介のリスク・問題点を解剖

改正派遣法の施行がいよいよ来月1日からにせまってきました。今回は「30日以内の日雇い派遣禁止」という人材派遣業界にとって大打撃となる法改正が含まれる為、人材派遣会社および日雇い派遣を常用的に利用してきた企業は日々対応に追われ、対策を練りに練っ…

労働契約法改正まとめ 無期転換ルール7つのポイント

8月10日に公布された改正労働契約法ですが、一部は公布と同時に既に施行されている状況です。以下ポイントをまとめます。 1.無期労働契約への転換2.「雇止め法理」の法定化3.期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止 このうち「2」の「雇止…

高年齢者雇用安定法 改正ポイントまとめ

さて、昨日とうとう改正高齢法が参院で可決・成立しました。施行は来年の平成25年4月からの予定です。ポイントは概ね次のようになります。 1.継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みの廃止つまり希望者は全員定年後再雇用し、65歳まで雇用しなければなら…

労働基準監督官による刑事立件のハードルの高さ

九州鹿児島管轄の労働基準監督署が、原発の作業員7人が死傷した事故について労働安全衛生法違反容疑での立件を断念したというニュースです。http://www.sankeibiz.jp/compliance/news/120822/cpb1208221533004-n1.htm 労働局によると、現場監督が死亡し十分…

「キラキラネームは就職に不利」は本当か

当て字や変わった読み方の子供の名前は最近「キラキラネーム」といわれたりしますが、親がよかれと思って特別な思いをこめて付けた奇抜な名前が就職活動の場面で不利になるという話があります。大手企業役員 「正直キラキラネームの学生の採用ためらう」│NEW…

有期雇用契約なのに試用期間を設ける矛盾とリスク

「試用期間はまだ本採用ではないのだから会社の裁量で簡単に労働者を辞めさせることができる」と考える経営者は意外と少なくありません。ですが現実は逆です。採用後の数ヵ月を「試用期間」としてしまった以上、余程のことがない限り解雇は許されないことに…

労基署の残業上限時間の容認っぷりが凄まじい

東京新聞が企業の労使協定の実態を調査したところ、残業時間の上限があまりにも法令の趣旨とかけ離れており、労災の過労死認定基準をはるかに凌ぐ上限を設定している企業が少なからず存在していることがわかりました。以下、東京新聞記事より引用します。 二…

「我が社にタイムカードは不要」はアリなのか

某婦人下着メーカーでは、社員の出退勤を管理するタイムカードがないという記事です。http://sankei.jp.msn.com/west/west_economy/news/120701/wec12070118000006-n1.htm一部引用 『遅刻早退私用外出のすべてを社員の自由精神に委ね、これを給料とも、人事…

5年を超える前に雇止めすれば問題ないという勘違い<改正労働契約法>

先週、改正労働契約法がとうとう可決、成立しました。有期雇用契約の労働者(契約社員)が同じ会社で5年を超えて反復更新された場合には、本人の希望により無期雇用(つまり正社員)への転換を企業に義務付けるという例の話題の法改正です。施行は来年の4月…

<65歳まで全員雇用>改正高齢者雇用安定法の問題点

昨日、60歳定年後の希望者全員を65歳まで雇用することを企業に義務付ける「改正高齢者雇用安定法」が衆議院の厚生労働委員会で可決されました。来年4月からの施行という事で成立する見通しです。http://www.sankeibiz.jp/econome/news/120801/ecc12080116220…

「外資系は簡単にクビ」を安易にマネすべきでない

最近、興味深いブログの記事を読みました。「外資が簡単にクビにできる理由」についてです。「どうして外資系企業は日本の企業と同じく労働基準法が適用されているのにクビにできるのか」という多くの方の疑問に対し、外資系の給与は担当する仕事内容によっ…

事業主があっせんに応じることにより労働審判を回避するメリット

労働トラブルが起こった際に最も重要なことは冷静さを失わないことです。オーナー企業の場合は特に顕著だと思いますが、労働者が会社に対し何らかの具体的な措置を講じてきたときに事業主側が「雇ってやったのに恩を仇で返された」とばかりに感情的になり、…

「40歳定年」構想の本質を考えてみる

昨日、当ブログに数時間のうちに凄まじい数のアクセスがあり、リンク元をたどったところ、ヤフートピックスの「40歳定年」の記事からのアクセスであることが判明。 ※繁栄のフロンティア部会報告書 http://www.npu.go.jp/policy/policy04/pdf/20120706/shiryo…

算定基礎届の呼び出し調査

社会保険の算定基礎届提出の季節ですが、昨年くらいから調査形式による提出が増えてきていると聞きます。今年度は私の関与先にも年金事務所からの呼び出し通知がきました。5年前の「宙に浮いた年金記録」「消えた年金記録」の年金記録問題の処理がある程度片…

派遣法改正の余波と人材派遣企業の動き

今年の3月28日に可決、成立した改正労働者派遣法の施行日が10月1日に決まりました。http://www.47news.jp/CN/201206/CN2012062701001243.html 当初法案にあった「登録型派遣の原則禁止」と「製造業派遣の原則禁止」はどちらも削除され、骨抜きの改正と批判さ…

期待外れの中途採用者を能力不足を理由に解雇できるのか

採用面接の際に本人が自己申告していた能力・スキルが実際のものとかけ離れていて処遇に困っているというのはよく聞く話です。企業が中途で従業員を採用する際には即戦力となる経験や能力を求めるケースがほとんどです。ときには課長、部長クラスの幹部候補…

有期パートタイマーの待遇を正社員並みに法改正

厚生労働省は有期雇用契約のパートタイマーの待遇(賃金・退職金など)を今後正社員並みに改善する方針を決めたようです。以下参照 http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_date2&k=2012062100660 ここで前提として次のことを確認しておく必要があります。平成20年4…

ガールズ居酒屋 労働基準法違反で逮捕

一昨日、横浜市内のガールズ居酒屋で、16〜17歳の女子高校生を含む18歳未満の少女4人を下着や水着姿で働かせていたなどとして、経営者が労働基準法違反容疑で逮捕されました。以下参照 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120613-00000029-mai-soci まず注…

管理監督者問題は2段構えで対応

先月、名ばかり管理職について書きました。人事権のない管理職や管理的業務の少ない管理職、給料が部下とあまり変わらない管理職は労働基準法上の管理監督者には該当せず、したがって残業代の支払いが必要な為、管理職だからといって残業代を支給しなくても…

労働者の過半数代表者選出を見直す時期にきている

最近、労働問題について何かとニュースに取り上げられるワタミが、36協定の締結方法について不正があるとして労働基準監督署から是正監督を受けていたのは記憶に新しいところです。以下の記事参照 http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK201206…

6時間労働で午後3時に定時退社

アパレルのインターネット販売で業績を伸ばしている「ゾゾタウン」の運営会社が、従業員の労働時間を大幅に短縮する改革を行ったとのことです。以下参照 6時間労働で午後3時に定時退社。そんな会社は、果たしてうまくいくのか? 朝9時に始業。昼休憩なしで6…

定額残業代ははたしてメリットがあるのか

最近は都心部を中心に従業員からの残業代の請求がかなり増加しているものと予想されます。残業時間を削減するには、変形労働時間制、みなし労働時間制などの特殊な労働時間制度を導入することがまずは有効と考えられますが、導入してもなかなか大幅な削減に…

厚生年金の未加入が今後厳しくなる件 <厚労省が告発・企業名公表を検討>

GW中のニュースですが。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120504-00000007-mai-pol 記事によれば、ここ数年は厚生年金に未加入の事業所数が10万前後で推移しており、厚労省は3年以内に半減を目指すとのこと。加入はしているが保険料を滞納しているという…

いまだ多くの企業で問題ありの「名ばかり管理職」

法テラスに勤務していた弁護士が残業代の支払いを求めて法テラスを提訴する事件が先月ありました。http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120424-OYT1T00615.htmこれは単なる残業代不払いの問題ではなく、当該弁護士が実態は労働基準法上の管理監督者と…