年功序列という1つの時代の終焉

ご存知のとおり年功序列は崩壊したと言われています。



1990年代後半まで当たり前のように運用されてきた年功型の人事制度(厳密には職能資格制)。
様々な問題を抱えていましたが、決定的だったのは給料(基本給)を下げられなかったということでしょうか。

職能資格制において評価の対象となる「職務遂行能力」は本人の保有能力であるため、そもそも下がるという考え方がありません。



さらに法的な観点からも、給料の引き下げは容易ではありませんでした。
多くの企業において、給与規程に以下のような文言が記載されていたはずです。

「第○条(昇給) 昇給は毎年4月に、基本給について行うものとする。」

この条文には「降給」の文字がありません。
まさかと思われるかもしれませんが、この規定では会社は一方的に給料を下げることはできません。




そして、バブル崩壊後、経済は停滞し、組織の成長はストップ。
若年層が少なくなる一方で、高齢者層が急増し、全体の労働量が落ちているのに、企業が支払う人件費総額は増加するという頭の痛い状況。

企業は膨れ上がる人件費を何とか抑制したい、何かいい案はないかと考え、
「業績に応じて給料を上げ下げできる成果主義という制度がアメリカにあるらしい。早速導入してみよう。」
となりました。


結果はうまくいかない企業が多数でした。
理由も様々言われています。



しかしながら、年功序列からの脱却は時代の要請です。
成果主義がうまくいかなかったから、やはり元のやり方に戻そうというわけにはいきません。




はっきりしていることは、

  • 大規模企業において、日本的システムである職能資格制を維持することは困難だった
  • 成果主義シフトの潮流は今後もなお変わらない
  • 中小企業については、必ずしも上記の前提があてはまるとは限らない。より柔軟な対応が必要である

ということであり、
これからの時代に勝ち残るための人事制度の模索は続いていくでしょう。




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