話題のテレワーク(在宅勤務制度)
東日本大震災や計画停電等によって多くの通勤困難者が発生したのは記憶に新しいところですが、その影響もあって、会社に出勤せずに業務を行えるテレワーク(在宅勤務制度)が注目を集めています。
震災後、在宅勤務支援サービス(※自宅のPCから会社のPCを遠隔操作)を提供するNTTコミュニケーションズには、問い合わせが通常の約5倍に急増したとのことです。
以下参照
http://www.yomiuri.co.jp/net/news/20110404-OYT8T00219.htm
テレワークとは、PCやインターネットを活用して会社以外の場所で業務を行う制度で、厳密には外勤型のモバイルワークと、内勤型の在宅勤務に分かれます。
もともとはワークライフバランス(仕事と家庭の両立)の取り組みの一環として導入されることの多かった制度であり、資生堂が育児・介護との両立社員を対象として昨年導入を発表した際などは話題になりました。
メリットとしては以下が考えられます。<企業側>
- 育児・介護などを理由に優秀な人材が退職するのを防ぐ
- 通勤手当等のコストを削減できる
- 業務効率があがる
- 企業イメージが向上する
<社員側>
- 通勤による負担が軽減される
- 余暇時間が増える
- 育児・介護などを理由に退職しなくて済む
そして上記に加え、交通網混乱の緩和、電力不足長期化への対策、今後の災害時への備えとして、テレワークの導入を本格的に検討する企業が増えている状況です。
注意すべきなのは、テレワークのデメリットとしてよく言われる以下の事項です。
- 社員間のコミュニケーションが希薄になる
- 情報漏洩のリスクが高くなる
- 社員の適正な評価が難しい
- 労働時間管理が難しい
なかでも重要なのは、在宅勤務社員の労働時間管理です。
テレワークにおいては、仕事と仕事以外の時間の区別が曖昧になりやすく、労働時間の把握が困難であることから、事業場外みなし労働時間制(実際に何時間働いたかに関わらず、あらかじめ決められた時間働いたとみなす制度)を使うことが多いかと思われます。
この事業場外みなしを運用する際に気をつけたいのは、事業場外みなしの要件が、
「労働時間の全部または一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いとき」
となっていることです。
つまり、始業・終業の都度メールや電話で会社に連絡させたり、勤務時間中は常に連絡がとれる状態にすることを義務付けたり、あるいは業務について会社が在宅社員に対して随時細かく指示を行う場合には、労働時間を算定し難いとは言い切れず、事業場外みなしが認められない可能性があるわけです。
また、テレワークは、会社の管理が行き届きにくいため、長時間労働になりやすい傾向にある点についても、会社の安全配慮義務の観点から対策が必要といえるでしょう。
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