セクハラの労災認定
「労働トラブルで最近特に問題になっているものは何か」
と聞かれれば、今ならセクハラ・パワハラと答えるかもしれません。
先ほどTBSのニュースでセクハラの労災認定についての特集を見ましたので、前回に引き続きセクハラについて書こうと思います。
以下参照
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4749898.html
最近、各地の労働局においてもセクハラの相談が倍増していると聞きます。
行政の企業に対するセクハラの是正指導も確実に増えています。
厚労省の指針に則った対策を講じなければ使用者責任や債務不履行責任を問われることになると前回お伝えしましたが、さきほどのニュースの内容はさらに一歩踏み込みます。
セクハラを原因とする精神疾患・精神障害は労災認定されるのか、という問題です。
詳しくはいずれ別の記事で書きますが、精神障害に係る労災認定は「心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針」という行政通達に基づき、「心理的負荷評価表」という表を使って、労災になるのかどうかを行政が判断します。
そして、心理的負荷評価表によれば、セクハラの心理的負荷の強度は中程度に分類されています。つまり、セクハラは滅多なことでは労災として認められません。
実際私も以前にセクハラの労災申請に関わった経験があるのですが、その際労基署の職員に「多分無理ですよ」とはっきり言われました。
前記のニュースに登場する被害者の女性も労災の申請は認められず、行政の判断を不服として国を提訴したところ、裁判の途中で国が突然労災を認めたとのことです。現時点では、セクハラで労災認定を勝ち取ろうと思うなら、裁判まで覚悟する必要があるということです。
しかしながら、今の流れからいけば、厚労省はいずれ基準を見直すのではないでしょうか。
そして最も重要なのは、「労災」とはそもそも災害を発生させた会社の労働者に対する補償責任を国の保険で代わりに支払う制度であり、セクハラで労災が認定されれば、会社の使用者としての責任がより明確に問われるということです。早い話、通常のセクハラトラブルよりも損害賠償額がでかくなるということです。仮に精神障害が自殺に発展したら取り返しがつきません。
セクハラを放置する危険性、そしてセクハラ問題において企業が問われる責任を正しくご理解ください。
関連記事