労働条件通知書

労務関連で会社が従業員とトラブルになって相談を受ける際に、まずは雇用契約の内容がどうなっているかを確認することがよくあります。


労働基準法では、従業員を雇い入れる際に労働時間や賃金など一定の労働条件を書面で明示することが義務付けられており、具体的には労働条件通知書を交付することが必要です。
(※雇用契約書を交わす方法でもOKです)

これに違反すれば当然罰則があるわけですが、それよりも困るのは労働条件を明示しない場合労使トラブルになりやすいということです。

従業員が1日何時間・週何日勤務して何日休み、それに対して会社がいくらの給料を支払うのか等ハッキリ確定させずにあいまいな口約束で雇い入れるなんてことは、自ら労働トラブルの爆弾を抱えていくようなものです。



最近でもまだ労働条件通知書を交付しない会社はあります。


入社した従業員は書面ではっきりしたものがもらえないと気になるところでしょうが、入社後いきなり 「労働条件通知書をください。」 なんてなかなか言いづらいものです。

そういう時は
「家族に見せて安心させたいのでいただけないでしょうか?」と言えば自然にお願いできるのではないかと思われます。それでももらえない場合、その会社には明らかに何かあると考えたほうがいいでしょう。



一方で、実際のところ労働条件を隠すことによる会社のメリットはほとんどありません。

会社によっては、年次有給休暇に係る事項を従業員に見せたくないといったような「労働条件を明示すると従業員が権利を主張しだす」という考えをお持ちの方もいらっしゃいますが、はっきり言ってあまり気にする必要はありません。

基本的に労働関係の法律については、経営者より労働者のほうがはるかに詳しいものです。労働条件通知書で有休の規定を明示するしないにかかわらず、労働者は有休の法定付与要件をよく知っています。労働条件を明示しても、それが原因で問題などまず起こりませんから、正々堂々と明示することをお勧めします。
(※これは就業規則でも同じことが言えますが)



なお、有期契約を更新する場合は、期間満了前に雇用契約書を使って更新手続きを行わなければ、「黙示の更新」として、期間の定めのない契約に変わったものとみなされますので十分ご注意ください。



関連記事