給与計算業務の重要性と今後

私たちの業界のベーシックな業務の1つに給与計算の代行というものがあります。



アメリカにおいては以前から自社の給与計算をアウトソーシングするのは当然の事だったのですが、近年は日本においてもアウトソーシングの流れが加速しています。



そもそも給与計算は外注に向いている業務といえます。

タスクを標準化しやすいですし、業務自体が本業のサービスや売上に影響する訳ではありません。また、取り扱う給与の情報は会計のように経営に直接的に必要な数字ではありません。

それでいて専門的な知識が必要であり、特に中小企業では担当者への依存度は大きいものと考えられます。




関わったことのない方にはあまりピンとこないかもしれませんが、給与計算は想像よりも複雑で難解な業務です。


給与計算業務の中で肝といえるのは、勤怠集計税金・保険料の計算の2つです。

給与を計算するにはまず、欠勤や遅刻・早退、途中入社・退社、休職などの不就労部分や、時間外・休日・深夜労働の割増賃金について給与へ反映させる為、タイムカードの勤怠を集計する作業が必要です。

確定した総支給額・課税対象額等をもとに所得税雇用保険料、社会保険料等を計算し、最終的な差し引き支給額を算出します。

これら一連の業務には、正確な法律の知識が必要です。
(※勤怠集計には労働基準法、税金・保険料の計算には所得税法厚生年金保険法等の各種法令)

日本は諸外国に比べ、これらの法律が複雑と言われており、給与のアウトソースが遅れている原因とも考えられます。

特に勤怠集計においては、一般企業の給与担当者レベルでも、正しく計算できているケースは少ないのではないでしょうか。




ところで昨日、東日本大震災の被災者支援として、給与天引きによる募金制度を導入する会社のニュースを見つけました。

以下参照
http://www.sankeibiz.jp/business/news/110819/bse1108190503001-n1.htm

募金に給与のシステムを使うのは、いいアイディアだと感じました。


また、先日、大変お世話になっている公認会計士の先生とお会いした際に、企業から出張旅費をその都度現金で精算されるのは煩わしいので給与で一括してもらいたいというお話をお伺いしました。



給与計算の外部委託は過当競争に入っているかもしれません。
価格破壊を起こして集客をはかっている業者もあれば、むやみに価格を引き下げずに適正価格で品質を維持し信頼を築いている専門家もいます。

実感では、価格が安ければサービスも安いなりだと思うのですが。いずれにしても判断するのは委託をする企業側です。


給与計算をただのフロー化された定型業務と捉えれば過当競争で終わってしまいますが、毎月会社から全社員に一斉に振込が行われるシステムには多くの可能性があり、顧客ニーズも様々です。固定観念にとらわれず新しいビジネスをつくっていくことも重要なのだと思います。