女性の肩を叩いて励ました上司がセクハラと訴えられる現実

某大手企業において、部下の女性から仕事のことについて相談を受けた上司が、「気にするなよ。」と言ってポンと肩を叩き励ましたところ、翌日になって上司からセクハラを受けたと会社に訴えてきたとのこと。

女性の肩を叩いて励ました上司 セクハラと告発され自主退職│NEWSポストセブン

詳細は不明ですが、この上司はやむなく自主退職したという記事です。


近年の職場におけるセクハラへの意識の高まりは今さら説明するまでもないと思います。

セクシュアルハラスメントは法令上明確に定義され、さらに企業はセクハラ防止対策を講じることが義務付けられています。実際に紛争が起きれば、セクハラの加害者は不法行為責任、会社は労働契約上の付随義務である職場環境配慮義務違反および民法上の使用者責任を問われることになります。

前述の事件が法的にセクハラに該当するのか、上司や会社が法的に責任を追及されて紛争に発展したのかなど定かではありませんが、同僚や上司などに身体を触られて不快に感じる女性がいることは当たり前と思いますし、近年のセクハラトラブルの増加や一般的な意識の高まりを考えれば、上司がとった行動は仮に悪気がなかったとしても明らかにうかつだったことは間違いありません。

大企業の中には、コンプライアンスの一環としてセクハラに該当しそうな行為を行き過ぎじゃないかと思えるほどに厳しく規定で禁止する会社もあり、現場では気軽にコミュニケーションがとれなくなって仕事に支障をきたしそうだという話も聞きます。

他方、いまだにセクハラが法令で規定されたことさえ知らずに大昔の感覚でセクハラ行為を日常的に繰り返す時代遅れ管理職も少なくありません。


前述の事件の上司は一般的なセクハラ意識の高まりを知らなかったわけでは決してなく、また自分の行為が女性に不快感を与えているとは夢にも思わなかったのだと予想されます。足りなかったのは想像力でしょうか。自分と相手の価値観がまるでズレていたことに全く気付きませんでした。

労働トラブルの大半はこの価値観のズレから起こるものです。会社側は従業員の価値観を的確に把握し先手を打たなければなりません。旧世界の価値観を引きずってきている方々は退場を余儀なくされるということを再認識させられる話でした。



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