ガールズ居酒屋 労働基準法違反で逮捕

一昨日、横浜市内のガールズ居酒屋で、16〜17歳の女子高校生を含む18歳未満の少女4人を下着や水着姿で働かせていたなどとして、経営者が労働基準法違反容疑で逮捕されました。

以下参照
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120613-00000029-mai-soci


まず注目すべきは、風適法違反ではなく、労働基準法違反で逮捕されたということ。そして、捜査、摘発を行ったのは、労基法の監督行政である労働基準監督署ではなく神奈川県警でした。その為だと思われますが、労基法違反にしては異例の「逮捕」になったのだと思われます。

調べたところ、今回問題となったガールズ居酒屋(「セクシー居酒屋」ともいう。)や、以前から問題となっているガールズバーなどの業種は横付き接客する営業形態ではないため風俗営業にはあたらず、風適法の規制対象にはならないようです。(つまり保健所の飲食業営業許可があれば営業可能。)

ただ実態として風俗営業と大差ないような過激な接客を行う飲食店において18歳未満の少女が多数働いている現状を重く見た警察当局が、風適法による摘発が行えない中での代替手段として労働基準法違反を使ったものと考えられます。



記事では、18歳未満について「福祉に有害な場所」で働かせたことが労基法の規定に違反すると判断したとされています。

今回適用された条文は、労働基準法「危険有害業務の就業制限」 という次の条文です。

第62条第2項 使用者は、満十八才に満たない者を、(中略)福祉に有害な場所における業務に就かせてはならない。


さらに「年少者労働基準規則」という厚生労働省令では、次のような条文があります。

(年少者の就業制限の業務の範囲)
第8条 法第六十二条第一項の厚生労働省令で定める危険な業務及び同条第二項の規定により満十八歳に満たない者を就かせてはならない業務は、次の各号に掲げるものとする。(中略)

四十四  酒席に侍する業務
四十五  特殊の遊興的接客業における業務

この条文の44号または45号に該当するとされたのではないかと考えられます。

行政解釈によれば、「酒席に侍する業務」における「酒席」とは、客の飲食、歓談等の席で酒等のアルコール類が供されるものをいい、「侍する」とは、酒席において一般に醸し出される慰安歓楽的雰囲気を維持し盛り上げるため客の傍らまたは近くにいる状態をいうものとされています。

単に酒を運ぶだけでは「酒席に侍する業務」には該当しない為、今回のガールズ居酒屋の営業形態がこの条項に該当するのかどうか断定的なことはいえません。

また、「特殊の遊興的接客業における業務」とは、カフェー、パー、ダンスホール及びこれらに準ずる場所において客に接する業務(ドアマン、給仕、レジ係等を含む)を指し、酒席に侍ったり客の接待をする業務に限定されないとされており、「酒席に侍する業務」よりも広い概念であると考えられます。


今後もこれらの規定を根拠にますます取り締まりは強化されていくものと考えられます。