有期パートタイマーの待遇を正社員並みに法改正

厚生労働省は有期雇用契約のパートタイマーの待遇(賃金・退職金など)を今後正社員並みに改善する方針を決めたようです。

以下参照
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_date2&k=2012062100660


ここで前提として次のことを確認しておく必要があります。

平成20年4月の改正パートタイム労働法の施行により、パートタイマー(短時間労働者)は次の条件を全て満たした場合に、賃金等の待遇面において通常の労働者(つまり正社員)との差別的取扱いが禁止されています(パート労働法第8条)。

1.職務内容(仕事の内容・責任)が正社員と同じ
2.人材活用の仕組み・運用(人事異動の有無・範囲など)が正社員と同じ
3.実質的に契約期間がない

これらの条件を満たしたパートタイマーは、「正社員並みパート」といわれたりしますが、正確には「通常の労働者と同視すべきパートタイム労働者」といわれます。


パートタイマーはたとえ仕事内容等が正社員と同じであったとしても、正社員に比べて賃金は安く賞与がないなど待遇面で劣るというのが一般的であり、企業は人件費を安くする為にパート労働者を雇用していると言っても過言ではありません。

パートタイマーと正社員の差別的取扱いを禁止するという規制は事実企業にとっては大きな負担であり、パートタイマーを多く雇用せざるを得ない営業形態の企業の中には、パート労働法第8条の規制を回避するべく様々な対策をとっている企業も少なくないと思われます。


そして昨年、厚労省は「正社員並みパート」の適用範囲を拡大するという方針を発表していました。

具体的には先ほど挙げた3つの条件を廃止したうえ、代わりに「合理的な理由なく不利益な取り扱いをしてはならない」と定めることによって運用に柔軟性をもたせ、「正社員並みパート」の対象者を増やしていくという方法でした。

この件の詳細は過去記事を参照
「正社員並みパート」拡大の是非 - 人事労務コンサルタントmayamaの視点



ところが冒頭に書いた通り、先日の厚労省の発表では、3要件を全て廃止するのではなく、「契約期間がない」という基準を削ることによってパートタイム労働者のうち「有期雇用契約」の労働者の待遇を改善していくことに方針を転換したように思われます。

雇用契約期間の有無のみによって正社員とパートタイマーの取扱いを分けていたという企業は法改正がなされれば当然パート労働法に抵触し、差別的取扱いが禁止されることになります。今のうちに有期パートタイマーの雇用形態や労働条件、待遇面について見直しを行い、法改正の動向に合わせて就業規則雇用契約書をスムーズに整備できるよう準備をすべきであるといえます。



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