週刊新潮 定年再雇用記事でコメントしました

本日発売の週刊新潮

サントリーが制度化でも「65歳定年制」の短所・難点・デメリット」の記事でコメントしました。



今回の記事の発端はサントリーHDが来年からの高齢法改正に先立ち、いち早く定年を65歳に引き上げる旨を発表したことです。

※詳しくは以下のニュース参照
http://www.sankeibiz.jp/business/news/121011/bsc1210111514013-n1.htm


サントリーが定年を引き上げたのはいうまでもなく企業イメージをアップさせるとともにESを向上させ、人材戦略を優位に進める為だと考えられます。

今回の人事制度改定にあたっては、60歳未満の昇給の抑制、新規採用の抑制などは一切行わないということであり、称賛に値するものだと思います。さすが人を大切にする経営のサントリーです。

このほか、最近のニュースでは定年再雇用後の賃金を引き上げるという動きが大企業を中心に広まっているという話もあります。

ここで注意すべきは、これらのニュースに見られるような動きはあくまでほんの一握りの企業の事例であり、圧倒的大多数の企業においては65歳までの継続雇用義務付けは大きな足かせとなって今後の経営に影響を及ぼし、結果的には若い世代の昇給抑制、新規採用の抑制につながり、場合によっては再雇用者が自主的に退職する方向に向けて企業が強引な退職勧奨を行うケースが増加していくことが予想されます。

さらに、今回の記事では触れられていませんが、継続雇用義務について果たしてどれだけの企業が法令に従うのか疑問が残りますし、法令に従わない企業に対して監督行政はきちんとした対応をとれるのか、これまでのような無法地帯にはならないのか、課題は山積みです。

現在、国会で指針案が提示されている継続雇用の例外規定についても、「本当にこんなんで大丈夫なのか?」と思えるような内容ですが、これは後日また書きます。実務家の立場から言うと、定年再雇用がらみの労働トラブルは今後確実に増えていくと思います。