女子高生 添い寝・マッサージ店 労働基準法違反で摘発

先週、都内の個室で18歳未満の女子高生に添い寝やマッサージなどの過激なサービスを行わせていたという店舗が、労働基準法違反容疑で警視庁から一斉捜索をうけたという目をひくニュースがありました。

「女子高生「添い寝」の店一斉捜索=秋葉原など17店、労基法違反容疑−警視庁」
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201301/2013012700209&g=soc


気が付いた方も多いと思われますが、摘発を受けた理由は風営法違反ではなく、労働基準法違反となっています。



実は以前、このブログで「ガールズ居酒屋」が摘発されたときの記事を書きましたが、このときも労働基準法違反容疑によって経営者が逮捕されています。

今回の事件と構造は同じです。

店舗の形態は表向きには性的サービスがないため風営法の規制対象となっていなかったところ、気軽にできるバイト感覚で18歳未満の少女が多数サービスに従事し、過激なサービスになっている現状を見逃せないと判断した警視庁が摘発の根拠として労働基準法の規定を使ったということです。



捜索の容疑は厳密にいえば、労働基準法第62条第2項(危険有害業務への就業制限)違反の容疑であり、以下の条文です。

第62条第2項
使用者は、満十八才に満たない者を、(中略)福祉に有害な場所における業務に就かせてはならない。

18歳未満の女子高生等が個室で男性に対し「添い寝」や「肩もみ」「マッサージ」などを提供するサービスが、上記「福祉に有害な場所における業務」に該当するということであり、さらに厳密にいうと、厚生労働省令である「年少者労働基準規則第8条」の第45号「特殊の遊興的接客業における業務」に該当すると判断されたものと考えられます。

(年少者の就業制限の業務の範囲)
第8条 法第六十二条第一項の厚生労働省令で定める危険な業務及び同条第二項の規定により満十八歳に満たない者を就かせてはならない業務は、次の各号に掲げるものとする。(中略)

四十五  特殊の遊興的接客業における業務

ここでいう「特殊の遊興的接客業における業務」が具体的にどんなものかについては、通達によれば

「カフェー、バー、ダンスホール及びこれに準ずる場所において客に接する業務」

とされています。

また、昭和56年労働省が示した見解によれば、

「特殊の遊興的接客業における業務」とは、「接客業」であって「特殊の遊興的」なものにおける「客に接する業務」をいうものと解される。

このうち「接客業」とは、 (中略) 料理店や飲食店とは異なって、個々の客に対し、 (中略) 「積極的なもてなし」行為を行うことを営業の主体とするものをいうと解される。

(中略) 喫茶店は、労働基準法の適用上は一般的には「飲食点」に該当するものであるが、ノーパン喫茶の場合には、 (中略) ウェイトレスの服装、ウェイトレスの行うサービスなどにより、個々の客に対する「積極的なもてなし」といい得る行為を行うことを営業の主体としている場合は、「接客業」に該当することとなる。

ノーパン喫茶が「特殊の遊興的」なものであるかどうかについては、ノーパン喫茶は、一般的には、客に性的な慰安歓楽を与えることを一つの目的とするものであり、「特殊の遊興的」なものであると解される。

※以下引用元
http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20110518#1305697778



今回の事件の該当店舗は「カフェー、バー、ダンスホール」にはあたらないと思われますが、提供しているサービスそのものはいわゆる「積極的なもてなし」行為を営業の主体としており、「客に性的な慰安歓楽を与えることを一つの目的とするもの」であることは世間一般的に考えて明らかといえそうです。

風営法で直接取り締まることが難しい業態を労働基準法違反によって摘発していくというかたちは今後も続くかもしれません。




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