「解雇要件の緩和」と「金銭解決ルール」は根本的に違うはず

最近の政府が行う解雇規制緩和議論の報道をみていると、何だか色々なものが混同されていてきちんとした議論ができているのか疑問です。(実態が正しく報道されていないのかもしれませんが)

「解雇をしやすくして雇用の流動性を」みたいなことが盛んに言われていますが、


1.解雇要件の緩和、あるいは解雇の自由化

2.金銭解決ルールの導入


これらは意味が異なりますが、色々な報道をみていると一体どちらのことを言っているのかよくわかりません。というより有識者会議の方々の多くはおそらく区別なく言っているのかもしれません。



解雇を有効に行う為の要件を思いっきり緩和させて、あるいは企業の自由に解雇できるようにするのであれば、そもそも金銭解雇ルールは必要ありません。解雇は有効に適法に行えるわけであり権利濫用とは認められないのですから、金銭によって解決させる問題など存在しないのです。

現行の法律では、解雇が無効と判決が下った場合、職場復帰の方法しか認められておらず、それでは会社側も労働者側も不都合があるという場合に、法律で定められた金銭を会社が給付することによって解雇は無効だけれども労働契約は終了させるというのが金銭解決ルールであって、金さえ払えば無効な解雇が有効になるというような考えは誤りだと思います。

現行法でいうところの「客観的に合理的な理由」のない解雇は認められないので「違法・無効な解雇」「不当解雇」になるわけですが、契約関係については和解によって解消されることもあれば、原職復帰して継続される場合もあり得るのです。いずれにしても、解雇の有効・無効、客観的な合理性があるかどうかということと、労働契約が継続か終了かということは別の問題であって、「金銭解雇」「解雇自由化」と連呼されると、何だかまるで「理屈はともかく金を払えば解雇OK」のような印象を強くうけるのであり危惧するところであります。




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