変動の多いパートタイマーの有休(比例付与)の基準

年次有給休暇は、雇い入れから6ヵ月間継続勤務し、全労働日の8割以上を出勤した労働者に対して10日間が付与されますが、所定労働日数や労働時間の少ない労働者(つまりパートタイマー)であっても、その労働日数に応じた日数の年休が付与されることになります。これを比例付与といいます。

具体的には、1週間の所定労働時間が30時間未満であって、かつ、1週間の所定労働日数が4日以下(週以外の期間によって所定労働日数が定められているパート労働者の場合は、1年間の所定労働日数が216日以下)の労働者が比例付与の対象になります。

そして、比例付与の際の付与日数は年休が発生する「基準日」時点における今後1年間に予定される所定労働日数および所定労働時間に基づいて決定されます。その後、年度の途中で仮に所定労働日数が変更になったとしても、付与された日数が変わることはありません。ですから例えば、最初の半年間の所定労働日数が週4日であってとしても、基準日において今後1年間の所定労働日数が週5日という予定であれば、その労働者は比例付与ではなく通常の労働者と同じように10日の有休が付与されることになり、その後の年度中に契約が変わって週4日に戻ったとしても、有休は基準日において発生した日数のままです。

しかしながら、現実にはパートの雇用契約はきちんと締結されていないケースも多いので所定労働時間や日数が曖昧ではっきりせず、あるいは季節によって所定時間・日数が不規則に変わったり、本人や会社の都合によって随時変更になるような運用も少なくないと思います。

所定労働日数が週1日であった労働者が、基準日付近でたまたま週5日の条件で働いていて通常の労働者と同様の10日間の有休を与えられ、その後また週1日勤務の契約に変わってしまったというケースを考えると、とても合理的とは思えません。

こうしたパートタイマーの所定労働日数が大きく変動するようなケースについては、参考となる通達が存在します。

訪問介護労働者の法定労働条件の確保のために」(平成16年8月27日基発第0827001)

予定されている所定労働日数が算出しがたい場合には、基準日直前の実績を考慮して所定労働日数を算出しても差し支えないという内容です。具体的な処理としては、過去1年間の出勤日を月ごとに集計し、合計日数を労働基準法施行規則第24条の3で定める「一年間の所定労働日数」の区分にあてはめることになります。なお、雇入れ後の最初の有休付与に関しては、過去6ヵ月の労働日数の実績を2倍したものを1年間の所定労働日数とみなして判断することになります。





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