残業代紛争は嵐の前の静けさなのか

会社が労働者から未払い残業代の請求を受ける案件がここ数年急増しており、今後さらに増加すると言われています。その要因の1つとしてあげられるのが、大量の弁護士の参入です。


いま弁護士業界は、司法制度改革によって司法試験の合格者が急増し飽和状態にあるというのを聞いたことがある方も多いのではと思います。

そして近年、そんな供給過剰な弁護士の受け皿となっていたのが、サラ金に対する過払い金返還請求です。これは利息制限法と出資法がそれぞれ定める上限利率の差額(グレーゾーン金利)にあたる利息を請求する仕事で、専門にする弁護士にとっては、はっきり言ってドル箱でした。

しかしながら、最近は過払い金も請求し尽くしてきて、そろそろ収束とも言われています。
当然、過払い金請求に代わる収入源が必要となるわけですが、そんな弁護士業界が、ポスト過払い金請求の有望株として狙っている分野の1つが未払い残業代請求であることは間違いなさそうです。最近は、残業代請求を促す法律事務所のウェブサイトや電車広告も、増えてきたように感じます。




そして先日、日弁連(日本弁護士連合会)が全国の弁護士を対象に行う残業代請求をテーマにした特別研修会の情報を見つけました。
(※研修会自体は、3月17日に予定されていた為、震災の影響を理由に中止となりました。)


以下、日弁連公式サイト研修会ページより引用

未払残業代請求事件は、弁護士が扱う労働事件の中で重要な一分野です。

労働時間の管理、残業代の支払いに対する意識が必ずしも高くない企業が未だ散見される一方で、労働者の権利意識は高まっており、退職などを契機とした残業代請求事件の増加が予想されます。

従来は労働問題を扱う機会の多くなかった弁護士であっても、今後は、残業代請求の基礎を理解しておく必要性が高まってきているといえるでしょう。

引用ここまで



いよいよ来そうだなという実感です。
弁護士でさえ就職難と言われる状況のなか、日弁連も未払い残業代問題を現実的なターゲットとして真剣に考え、本格的に動き始めたということでしょうか。



特に中小企業で常態化するサービス残業
企業側の意識の低さは、請求側にとってはむしろチャンスといえるでしょう。
何も対策をとらずに昔の感覚でサービス残業をさせている会社は、さすがにそろそろ腰を上げた方がよさそうです。