2013-01-01から1年間の記事一覧

オフィスの全面禁煙化は不利益変更にあたるか

以前の記事で「喫煙者を採用しない企業」について触れましたが、タバコ関連の話題をもう1つ書きます。 平成15年の健康増進法の施行に伴い、企業にも受動喫煙防止の努力義務が課せられ、厚生労働省が発表する「職場における喫煙対策のためのガイドライン」に…

誓約書は退職時ではなく入社時に提出させる

「労働者が会社を辞めた後も、守秘義務や競業避止義務を課したい」そう考えて労働者が退職する際に誓約書を書かせる企業は少なくありません。 しかしです。 労働者が誓約書の署名を「嫌だ」と拒否したら、その会社はどうすればよいのでしょうか。結論からい…

「業績が悪いので退職金払えません」はアリなのか

退職金制度を作ったり見直しを加えたりする際にこう相談されることがあります。「会社の業績が悪い時は不支給とするルールにできないか」つまり賞与と同じようにしたいということです。 通常、就業規則の賞与の条文には以下のような記載があるはずです。「会…

労働基準監督官の現実<ダンダリンを視聴して>

日本テレビ系連続ドラマ「ダンダリン 労働基準監督官」の第1回オンエアを見ました。一般的に馴染みのない労働基準監督官という職業についてそれなりに具体的に表現できていたように思います。以下、ドラマでやっていた内容について、実際はどうなのか、個人…

「残業代ゼロ」特区という報道の違和感

企業が労働者を解雇しやすくして、さらに労働時間規制を緩和し残業代をゼロにすることも認められる特区の法案が秋の臨時国会で提出されるという報道があります。一定の年収以上の労働者、高度で特殊な能力・専門的な技術を持ち法規制にとらわれずに思い切り…

変動の多いパートタイマーの有休(比例付与)の基準

年次有給休暇は、雇い入れから6ヵ月間継続勤務し、全労働日の8割以上を出勤した労働者に対して10日間が付与されますが、所定労働日数や労働時間の少ない労働者(つまりパートタイマー)であっても、その労働日数に応じた日数の年休が付与されることになりま…

解雇の金銭解決ルールは労働者にとってはたして損なのか

解雇金銭解決制度の議論に関するこんなニュースがあります。解雇補償金制度が導入されると「カネさえ払えばクビ」にできる?(週プレNEWS) http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130828-00000427-playboyz-soci 「制度化されれば解雇解決金の水準が…

休職期間を安易に延長すべきではない

休職制度は解雇リスクを避ける意味でも企業にとって大変重要な制度ですが、悩ましいのは休職期間の終了時期が近づいてきた復職間際のところでしょう。本人の復職の意思を確認し、意思アリであれば職場復帰可能を証明する主治医の診断書を提出してもらい、さ…

「労基法違反=ブラック企業」という定義付けでは規制は無理です

政府が法令違反が疑われる4千事業所に立ち入り調査をすると発表しました。 ブラック企業の対策強化 厚労省、4千事業所立ち入りへ(2013年8月8日朝日新聞) http://www.asahi.com/business/update/0808/TKY201308080082.html 若者の使い捨てが疑われる「ブラッ…

「ブラックバイト横行」アルバイト基幹化に思うこと

随分久しぶりの更新となります。私の業界では6月・7月が繁忙期なのですが、あまりの繁忙ぶりに全くブログの更新ができず、繁忙期の余韻を引きずって今日にまで至りました。今年の後半に向け巻き返しをはかっていきたいと思います。 さて、本題に入りますが、…

諭旨退職が退職勧奨と混同されている?

諭旨退職についての相談を受けていると、「もしや退職勧奨と混同しているのではないか」と感じる時があります。いうまでもなく、諭旨退職と退職勧奨は法的に全く別物です。 「諭旨退職」とは、不祥事を起こした懲戒解雇処分相当である労働者に対し、「反省の…

身元保証書の注意点および身元保証人の責任の範囲

企業で人を採用する際、特に正規雇用社員の入社に際して身元保証書の提出を義務付けている会社は少なくありません。この「身元保証」とは、従業員の行為によって会社が損害を受けた場合に、身元保証人がその損害を賠償するという内容の契約であり、会社と身…

なぜ始末書が必要なのか(始末書の法律実務)

労働者が不祥事を起こした時に始末書をきちんと提出させない会社が見うけられます。私は関与先の会社には必ず始末書をとるようにお願いしています。労働者に始末書を書かせることは法的にみて非常に重要な意味があるのです。 始末書を提出させる目的とは何で…

「限定正社員」をめぐる大いなる誤解

ここ数週間、ニュースで「限定正社員」という雇用形態についての報道が多くなってきたようです。政府の規制改革会議が推し進めているようです。夏の参院選を考慮して安倍政権が「解雇規制緩和」政策を見送ったのでその代わりということでしょうか。「限定正…

喫煙者を採用しない企業に入社した後、喫煙が発覚した場合の解雇は認められるのか

以前、星野リゾートの「喫煙者を採用しない」という方針がニュースで話題になりました。ウェブサイト上の採用ページで応募者の喫煙の有無を確認し、元々喫煙をしない場合か、もしくは禁煙を誓約することを選択しなければ採用選考に進むことができないという…

入社前研修の賃金・労災その他取扱い

採用内定者向けに入社日前に研修を実施することがありますが、賃金は支給すべきなのか、支給する場合の金額はどうするのか、労災は適用になるのかといった質問を受けることがあります。 入社前研修について賃金支払いが必要になるかどうかは、基本的には研修…

ブラック企業は社名公表よりも労基法違反取締強化によって減少するという意見は見当違い

自民党が最近メディアで話題になっている「ブラック企業」について、社名公表などの措置を政府に提言する方針を固めたという報道があり、ネット上ではこの件について様々な意見がみられます。その中でよく目にするのが、「なぜ企業名公表なのか。企業に労働…

<解雇規制緩和論>人員整理と戦力外通告が混同されているのでは

昨日の記事に引き続きですが、最近の解雇規制緩和の報道について、様々なものがごちゃ混ぜに論じられている為に感じる違和感を書きたいと思います。解雇規制の緩和とひと口に言っても、企業の業績不振の際に雇用調整をはかるために行う整理解雇と、労働者の…

「解雇要件の緩和」と「金銭解決ルール」は根本的に違うはず

最近の政府が行う解雇規制緩和議論の報道をみていると、何だか色々なものが混同されていてきちんとした議論ができているのか疑問です。(実態が正しく報道されていないのかもしれませんが)「解雇をしやすくして雇用の流動性を」みたいなことが盛んに言われ…

早くも表面化。労働契約法「改悪」の余波

4月1日から改正労契法が施行されています。これでいよいよ有期契約労働者は、更新によって通算期間が5年を超えた時点で無期転換申込権を獲得できるようになったわけです。当然ですが、この法改正をうけて多くの企業は契約社員の更新年数に上限を設けるであろ…

「残業代をきっちり払わせれば勤労者の所得は2割上がる」のウソ

「労基局がまともに機能するだけで、日本の個人所得が2割上がることが判明」このような見出しで最近ネット上で話題になっているのを見かけました。その話題の元になっていたのが、以下の記事です。 「名指し賃上げ要求」よりも、残業代をきっちり払わせよ h…

ユニクロ報道をみて思うこと<サービス残業問題の本質>

先日、東洋経済で「ユニクロ 疲弊する職場」と題して、現場社員(主に店長クラス)の壮絶な長時間労働、過酷な労働環境とそれらに起因する高い離職率の実態が公開され、大きな波紋を呼びました。※記事はこちら http://toyokeizai.net/articles/-/13101 この…

「準正社員」「賃金を抑え解雇しやすく」中途半端な政策でお茶を濁すのか

安倍内閣に代わってからというもの、「解雇規制緩和」への流れが加速しているように感じます。それ自体に異論はないのですが、気になるのは何とも中途半端なというか、意味不明というか、またしてもグダグダな政策が進行中のこの状況です。まずは具体的なニ…

解雇規制の緩和は、企業の人事権・業務命令権の低下と引き替えである

政府の有識者会議で、「正社員を解雇しやすくすべきだ。」という意見がでて、ネットを中心に話題になっているようです。 「正社員を解雇しやすく」 安倍政権の有識者会議で議論 http://www.asahi.com/business/update/0307/TKY201303060639.html 正社員を解…

40歳定年制論者はそもそも有期雇用と定年をごっちゃにしている

昨年の夏、国家戦略会議の繁栄のフロンティア部会が「40歳定年制」を提言してからというもの、テレビや新聞、雑誌などで40歳定年の話題をよく目にします。東京大学大学院教授の柳川範之氏が推進しているようです。※参考までに柳川教授の主張 http://www.nikk…

裁量労働制の落とし穴

裁量労働制を導入したいという依頼を企業から受けることがあります。裁量労働制とは、端的に言えば、法律上決められた一定の手続きを踏むと、現実に何時間働いたとしても、ある決まった時間働いたものとみなすことができる労働時間制度です。しかし、経営者…

高年齢者雇用安定法改正の経過措置の具体的運用

希望者全員を65歳まで雇用義務化という法改正「改正高年齢者雇用安定法」の施行がいよいよ4月に迫ってきました。計画的に行動している企業は着々と就業規則の改定作業を進めていると思います。大手などは法改正で増加する人件費に対応する為、全体の昇給カー…

固定残業代(定額残業代)の翌月への繰越

毎月固定の残業代を支給する手法は中小企業を中心に定着しつつあると思われます。何時間分の残業代としていくらを支払っているのかを明確にしたうえ他の賃金と区別し、実際の残業が定額分を超過した場合の差額を毎月きちんと支払っていれば、固定残業代は違…

自転車通勤の法的リスク・問題点

ここ数年、自転車で会社に通勤するという方は急増しているように感じます。自転車通勤に切り替える理由としては、「健康を考えて」、「通勤ラッシュが嫌だから」、「エコだから」、あるいは「会社に電車通勤で申請しておいて支給された定期券代をフトコロに…

女子高生 添い寝・マッサージ店 労働基準法違反で摘発

先週、都内の個室で18歳未満の女子高生に添い寝やマッサージなどの過激なサービスを行わせていたという店舗が、労働基準法違反容疑で警視庁から一斉捜索をうけたという目をひくニュースがありました。「女子高生「添い寝」の店一斉捜索=秋葉原など17店、…