2012-01-01から1年間の記事一覧

不当労働行為の救済命令を無視

企業が不当労働行為の救済命令に違反した場合には、法律で罰則が定められていますが、今回はそんな形式的な話ではありません。 牛丼チェーン「すき家」を運営するゼンショーが、団体交渉拒否について謝罪し、解決金を支払うことで労働組合と和解したというニ…

最低賃金の廃止が受け入れられない理由

先日、日本維新の会が選挙公約として掲げネットを中心に物議を醸した「最低賃金の廃止」ですが、あまりの批判にさらされてか早くも最低賃金廃止が撤回され、「市場メカニズムを重視した最低賃金制度への改革」という訳の分からない文言へ修正された模様です…

解雇予告と同時に休業命令はアリなのか

会社が労働者に対して解雇を通告する場合には、30日前に予告するか、または30日分の平均賃金を解雇予告手当として支払うかのどちらかが必要なのはよく知られています。実務上は解雇予告手当の支払いを選択する方が圧倒的に多いかと思います。ところが、この…

「新卒一括採用の廃止・見直し」は土台無理か

新卒一括採用について、就職活動の激化や既卒者の就職難の原因になっているなど様々なデメリットが指摘されており、見直しが必要ではないかという問題提起のニュース記事がありました。 新卒一括採用は見直すべきか - ライブドアニュース 新卒時の1回にチャ…

腰痛は労災として認められるか

現実問題、腰痛の労災請求がかなり厳しいのは確かです。なぜなら、一般的に労災認定を受ける為には、業務とケガ・病気との間に因果関係が認められる必要があるわけですが、腰痛の場合、本当に業務が原因なのかどうか特定するのがかなり難しいからです。(※腰…

固定残業代を運用していても違法は違法

今月は11月なので毎年恒例の「労働時間適正化キャンペーン」が実施されています。この時期は労働基準監督署が残業代不払いについて結構厳しく取り締まります。多くの企業が是正勧告を受けて支払いを命じられることになります。 そんななか、先週こんなニュー…

多くの会社でずさんな月額変更

社会保険労務士という職業柄、様々な会社の社会保険手続きの実態をみることになるわけですが。実感としては、従業員の入社・退社時の得喪手続きや、お金の支給や免除を受ける為の手続き(傷病手当金、労災、育児休業関係)などは割と問題なくできているよう…

突然言い出すから問題になる契約社員の更新拒否(雇止め)

一般的に契約社員は雇用の調整弁と考えられており、必要な時に必要な人員だけ更新をして、業務が減り必要がなくなったら契約を即打ち切るという使い方をされているパターンが大多数だと思われます。しかしこの運用は、そもそも有期契約が臨時的・一時的な業…

インターンシップの違法性と注意点

近年、インターンシップに参加する学生は本当に増えています。インターンシップの活用は、企業ニーズと学生の抱くイメージのミスマッチの回避につながりますし、企業側は選考過程に組み込んで優秀な学生を採用するチャンスを得られるなど様々なメリットがあ…

週刊新潮 定年再雇用記事でコメントしました

本日発売の週刊新潮 「サントリーが制度化でも「65歳定年制」の短所・難点・デメリット」の記事でコメントしました。 今回の記事の発端はサントリーHDが来年からの高齢法改正に先立ち、いち早く定年を65歳に引き上げる旨を発表したことです。※詳しくは以下の…

給与計算は税理士、社労士、アウトソーシング会社、どこに委託すべきなのか

自社の給与計算業務を外部にアウトソーシングしようと考えた場合、委託する相手の選択肢は税理士、社会保険労務士、給与専門のアウトソーシング会社など色々考えられますが、一体どこに頼むべきなのかいまいち判断しかねるものと思われます。率直にいって従…

業績改善プログラム(PIP)を使った解雇は日本では通用しない模様

外資系企業がリストラのためによく使うと言われる「業績改善プログラム(「Performance Improvement Program」通称:PIP)」という手法があります。退職勧奨に応じないリストラ対象の社員に対して目標を与え、面談を繰り返して達成状況を確認しながら指導を…

健康保険組合の編入の実際

健康保険と言えば、一般的に中小企業は全国健康保険協会が運営する「協会けんぽ」に加入しますが、グループ企業や同業種の企業が集まって運営する健康保険組合は協会けんぽよりも保険料が安いなどのメリットがあり、編入したいというお問い合わせをいただく…

請負・業務委託と直接雇用(労働者)の判断基準

企業は雇用リスクを回避する手段として、雇用契約ではなく請負(業務委託)という法形式を使うことがよくあります。雇用リスクとは・ 社会保険などの加入義務 ・ 労働基準法等に定められた義務(残業代、有給休暇、最低賃金、安全衛生など) ・ 解雇した場合…

「みなし残業」という訳の分からない制度

会社員の方がこう話すときがあります。「うちの会社はみなし残業制だからいくら残業しても決まった額しか残業代が出ない。」労働法的に考えると、筋の通らない話です。というのも、労働基準法その他の法律に「みなし残業」などという言葉はありません。まさ…

高年法改正 違反企業の企業名公表で何かが変わるのか

65歳までの全員継続雇用を義務付けた今回の高年齢者雇用安定法の改正点の中に、義務違反企業に対する「企業名の公表」というものがあります。これまで違反企業に対しては、行政当局による助言・指導・勧告までしか行われず、実態は違反企業だらけだったので…

TBS「みのもんたのサタデーずばッと」TV出演しました<高年法改正について>

平成24年9月15日(土)放送TBS「みのもんたのサタデーずばッと」◆定年後も希望者全員雇用を義務づける法律が成立!その光と影とは?◆テレビ出演させて頂きました。具体的には、来年4月から施行の改正高年齢者雇用安定法の弊害についてコメントしました。 こ…

契約社員はもはや「いつでも切れる」労働者ではない<雇止め法理の法定化>

労働契約法改正について、ニュースなどで話題になっているのは、5年超えた場合の無期転換の話ばかりのように感じますが、実際のところ無期転換ルールは企業の意識に影響を及ぼしません。実は無期転換ルールは重要ではありません。企業にとって必要な人材であ…

定年再雇用後の労働条件をどう定めるか<高年法改正>

来年4月の改正高年齢者雇用安定法の施行に備えて各企業は賃金体系や就業規則を見直す必要があるのは当然ですが、60歳以降の労働条件をどう設定するかという点は非常に重要になってきます。これまでもそうでしたが、基本的に定年再雇用後の労働条件に関しては…

日々紹介のリスク・問題点を解剖

改正派遣法の施行がいよいよ来月1日からにせまってきました。今回は「30日以内の日雇い派遣禁止」という人材派遣業界にとって大打撃となる法改正が含まれる為、人材派遣会社および日雇い派遣を常用的に利用してきた企業は日々対応に追われ、対策を練りに練っ…

労働契約法改正まとめ 無期転換ルール7つのポイント

8月10日に公布された改正労働契約法ですが、一部は公布と同時に既に施行されている状況です。以下ポイントをまとめます。 1.無期労働契約への転換2.「雇止め法理」の法定化3.期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止 このうち「2」の「雇止…

高年齢者雇用安定法 改正ポイントまとめ

さて、昨日とうとう改正高齢法が参院で可決・成立しました。施行は来年の平成25年4月からの予定です。ポイントは概ね次のようになります。 1.継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みの廃止つまり希望者は全員定年後再雇用し、65歳まで雇用しなければなら…

労働基準監督官による刑事立件のハードルの高さ

九州鹿児島管轄の労働基準監督署が、原発の作業員7人が死傷した事故について労働安全衛生法違反容疑での立件を断念したというニュースです。http://www.sankeibiz.jp/compliance/news/120822/cpb1208221533004-n1.htm 労働局によると、現場監督が死亡し十分…

「キラキラネームは就職に不利」は本当か

当て字や変わった読み方の子供の名前は最近「キラキラネーム」といわれたりしますが、親がよかれと思って特別な思いをこめて付けた奇抜な名前が就職活動の場面で不利になるという話があります。大手企業役員 「正直キラキラネームの学生の採用ためらう」│NEW…

有期雇用契約なのに試用期間を設ける矛盾とリスク

「試用期間はまだ本採用ではないのだから会社の裁量で簡単に労働者を辞めさせることができる」と考える経営者は意外と少なくありません。ですが現実は逆です。採用後の数ヵ月を「試用期間」としてしまった以上、余程のことがない限り解雇は許されないことに…

労基署の残業上限時間の容認っぷりが凄まじい

東京新聞が企業の労使協定の実態を調査したところ、残業時間の上限があまりにも法令の趣旨とかけ離れており、労災の過労死認定基準をはるかに凌ぐ上限を設定している企業が少なからず存在していることがわかりました。以下、東京新聞記事より引用します。 二…

「我が社にタイムカードは不要」はアリなのか

某婦人下着メーカーでは、社員の出退勤を管理するタイムカードがないという記事です。http://sankei.jp.msn.com/west/west_economy/news/120701/wec12070118000006-n1.htm一部引用 『遅刻早退私用外出のすべてを社員の自由精神に委ね、これを給料とも、人事…

5年を超える前に雇止めすれば問題ないという勘違い<改正労働契約法>

先週、改正労働契約法がとうとう可決、成立しました。有期雇用契約の労働者(契約社員)が同じ会社で5年を超えて反復更新された場合には、本人の希望により無期雇用(つまり正社員)への転換を企業に義務付けるという例の話題の法改正です。施行は来年の4月…

<65歳まで全員雇用>改正高齢者雇用安定法の問題点

昨日、60歳定年後の希望者全員を65歳まで雇用することを企業に義務付ける「改正高齢者雇用安定法」が衆議院の厚生労働委員会で可決されました。来年4月からの施行という事で成立する見通しです。http://www.sankeibiz.jp/econome/news/120801/ecc12080116220…

「外資系は簡単にクビ」を安易にマネすべきでない

最近、興味深いブログの記事を読みました。「外資が簡単にクビにできる理由」についてです。「どうして外資系企業は日本の企業と同じく労働基準法が適用されているのにクビにできるのか」という多くの方の疑問に対し、外資系の給与は担当する仕事内容によっ…