健康保険組合の編入の実際

健康保険と言えば、一般的に中小企業は全国健康保険協会が運営する「協会けんぽ」に加入しますが、グループ企業や同業種の企業が集まって運営する健康保険組合協会けんぽよりも保険料が安いなどのメリットがあり、編入したいというお問い合わせをいただくことがあります。

健保組合のメリット・デメリットをまとめると以下のようになります。


メリット
1.保険料が安い(会社と従業員双方にとってプラス)
2.法定給付以外に独自の付加給付がある(療養、出産、死亡時などの上乗せ)
3.検診施設、保養所などの福利厚生が充実
4.人材獲得面で優位性をもち、従業員の満足度も向上

デメリット
1.編入する為の条件が厳しい
2.協会けんぽに比べ添付書類が多いなど、日常の手続きが煩雑
3.財政悪化している健保組合が多く、財務状態や将来性にも留意しなければならない
4.倒産や業種変更等がなければ脱退できない



健康保険組合編入するにあたっては審査を受ける必要があります。審査ではそれぞれの健保組合の加入要件をチェックされます。

一般的に加入の際の判断基準となるのは以下のような項目です。

・業種、地域
・給与、賞与の水準(高い方がよい)
・被保険者の平均年齢(若い方がよい) 
・被保険者数(多い方がよい)
・被扶養者数(少ない方がよい)
・設立からの年数、または協会けんぽの加入年数
・過去に税金、社会保険料の滞納があるかどうか
・経営状況

これらのチェックを受ける為に、大量の添付書類を提出することになるわけです。

審査期間は短くて数ヵ月、長いと一年程度かかります。編入を考えている企業担当者は早めに動いた方がよいと思います。審査に通った後は説明会等に出席し、資格取得手続きを行っていくことになります。



さて、メリットが大きいと考えられる健康保険組合といえば、「東京電子健保組合」「人材派遣健保組合(はけんぽ)」などが言われますが、近年特に人気が高いのが

関東ITソフトウェア健康保険組合(通称:ITS健保)」

です。この健保組合は保険料が安い点などは他と同様ですが、福利厚生の充実度に圧倒されます。

最近の健保組合では人間ドックやメンタルヘルスのカウンセリング補助なども普通にありますが、ITS健保ではさらに、高級レストラン、リゾート施設、スポーツジム、旅行パック、ゴルフ場など様々な施設が安く利用できるのです。

IT業界であれば知らない人はあまりいないと思われるほど有名なITS健保ですが、それだけに審査の厳しさでも有名です。

加入基準として、被保険者の人数や平均年齢、扶養率、標準報酬月額などの細かい項目設定がありますが、全部クリアする方がよいですし、できれば基準を大きく上回る状態だと安心して申請を行うことができます。

内容の充実した健保であれば加入のメリットはデメリットを凌駕しますので、条件に合いそうならば審査は厳しいですが編入を考えてみる価値はあると思います。




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