2012-01-01から1年間の記事一覧

事業主があっせんに応じることにより労働審判を回避するメリット

労働トラブルが起こった際に最も重要なことは冷静さを失わないことです。オーナー企業の場合は特に顕著だと思いますが、労働者が会社に対し何らかの具体的な措置を講じてきたときに事業主側が「雇ってやったのに恩を仇で返された」とばかりに感情的になり、…

「40歳定年」構想の本質を考えてみる

昨日、当ブログに数時間のうちに凄まじい数のアクセスがあり、リンク元をたどったところ、ヤフートピックスの「40歳定年」の記事からのアクセスであることが判明。 ※繁栄のフロンティア部会報告書 http://www.npu.go.jp/policy/policy04/pdf/20120706/shiryo…

算定基礎届の呼び出し調査

社会保険の算定基礎届提出の季節ですが、昨年くらいから調査形式による提出が増えてきていると聞きます。今年度は私の関与先にも年金事務所からの呼び出し通知がきました。5年前の「宙に浮いた年金記録」「消えた年金記録」の年金記録問題の処理がある程度片…

派遣法改正の余波と人材派遣企業の動き

今年の3月28日に可決、成立した改正労働者派遣法の施行日が10月1日に決まりました。http://www.47news.jp/CN/201206/CN2012062701001243.html 当初法案にあった「登録型派遣の原則禁止」と「製造業派遣の原則禁止」はどちらも削除され、骨抜きの改正と批判さ…

期待外れの中途採用者を能力不足を理由に解雇できるのか

採用面接の際に本人が自己申告していた能力・スキルが実際のものとかけ離れていて処遇に困っているというのはよく聞く話です。企業が中途で従業員を採用する際には即戦力となる経験や能力を求めるケースがほとんどです。ときには課長、部長クラスの幹部候補…

有期パートタイマーの待遇を正社員並みに法改正

厚生労働省は有期雇用契約のパートタイマーの待遇(賃金・退職金など)を今後正社員並みに改善する方針を決めたようです。以下参照 http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_date2&k=2012062100660 ここで前提として次のことを確認しておく必要があります。平成20年4…

ガールズ居酒屋 労働基準法違反で逮捕

一昨日、横浜市内のガールズ居酒屋で、16〜17歳の女子高校生を含む18歳未満の少女4人を下着や水着姿で働かせていたなどとして、経営者が労働基準法違反容疑で逮捕されました。以下参照 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120613-00000029-mai-soci まず注…

管理監督者問題は2段構えで対応

先月、名ばかり管理職について書きました。人事権のない管理職や管理的業務の少ない管理職、給料が部下とあまり変わらない管理職は労働基準法上の管理監督者には該当せず、したがって残業代の支払いが必要な為、管理職だからといって残業代を支給しなくても…

労働者の過半数代表者選出を見直す時期にきている

最近、労働問題について何かとニュースに取り上げられるワタミが、36協定の締結方法について不正があるとして労働基準監督署から是正監督を受けていたのは記憶に新しいところです。以下の記事参照 http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK201206…

6時間労働で午後3時に定時退社

アパレルのインターネット販売で業績を伸ばしている「ゾゾタウン」の運営会社が、従業員の労働時間を大幅に短縮する改革を行ったとのことです。以下参照 6時間労働で午後3時に定時退社。そんな会社は、果たしてうまくいくのか? 朝9時に始業。昼休憩なしで6…

定額残業代ははたしてメリットがあるのか

最近は都心部を中心に従業員からの残業代の請求がかなり増加しているものと予想されます。残業時間を削減するには、変形労働時間制、みなし労働時間制などの特殊な労働時間制度を導入することがまずは有効と考えられますが、導入してもなかなか大幅な削減に…

厚生年金の未加入が今後厳しくなる件 <厚労省が告発・企業名公表を検討>

GW中のニュースですが。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120504-00000007-mai-pol 記事によれば、ここ数年は厚生年金に未加入の事業所数が10万前後で推移しており、厚労省は3年以内に半減を目指すとのこと。加入はしているが保険料を滞納しているという…

いまだ多くの企業で問題ありの「名ばかり管理職」

法テラスに勤務していた弁護士が残業代の支払いを求めて法テラスを提訴する事件が先月ありました。http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120424-OYT1T00615.htmこれは単なる残業代不払いの問題ではなく、当該弁護士が実態は労働基準法上の管理監督者と…

65歳までの再雇用義務付けを考慮した企業の賃下げが始まった

65歳までの希望者全員の雇用確保措置が来年4月から段階的に実施される見通しです(※高齢者雇用安定法の改正案)。この再雇用の義務付けは2025年まで12年間かけて1歳ずつ引き上げられていきます。さしあたり来年からは、61歳までの継続雇用が義務付けられるこ…

サマータイム制度導入と就業規則の改定

ここ最近、朝6時台でも電車が心なしか混んできたように感じます。夏の節電を見据えて早くもサマータイム制度を実施し始めている会社が増えているからでしょうか。 大半の企業で導入されているサマータイム制度は、1日の労働時間数に変更はなく、始業・終業時…

退職時に有給休暇をまとめて消化したいと言われたときの対応

退職することが既に決まった従業員から年次有給休暇をまとめて申請されたとき、会社はどう対応するべきか。例えば有休がまるまる40日(つまり2年分)未消化で残っていれば、仮に労働者が30日前に退職を申し出ていたとしても、退職日までの労働日を全て有休に…

社会保険に加入しなくてもよい非常勤役員の判断基準

労災や雇用保険と異なり、社会保険(健康保険・介護保険・厚生年金)は役員(取締役・監査役)でも加入することができます。逆に言えば、社会保険は強制加入の公的保険であり、役員といえども加入するかしないかを自身では選択はできず、必ず加入することが…

JAL整理解雇「有効」判決をみて思う事

先週、会社更生手続き中の日本航空から整理解雇されたパイロット76人が解雇無効を訴えて争っていた裁判の判決が、そして翌日には同じく整理解雇された客室乗務員71人が争っていた訴訟の判決がそれぞれ東京地裁でありました。いずれも解雇は有効であると判断…

アメリカの外食産業に過労死がない理由

こんな興味深いコラムを見つけました。「アメリカの外食産業に過労死がない理由とは?」 アメリカの外食産業に過労死がない理由とは? | 冷泉彰彦 | コラム | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト 内容を簡単にまとめると、アメリカの外食産業に過労…

上司だけでなく部下・同僚からの嫌がらせもパワーハラスメント<厚労省・初の定義>

1月末に、厚生労働省(職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ)がパワーハラスメントの定義を初めて公表したことは記憶に新しいところです。さらに先日、同円卓会議によって「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言」…

解雇・会社都合退職と助成金の不支給

昨年の震災も影響してか、最近は助成金を申請する機会が少なくありません。震災関連だと雇用調整助成金(中小企業緊急雇用安定助成金)、被災者雇用開発助成金などが主なところです。助成金は経営の苦しい企業にとって一時的とはいえ救いになりますし、助成…

特別条項付き36協定の注意点

もうすぐ4月ですが、労使協定は4月1日を起算日にしている会社が多いので、ちょうど今の時期に協定の手続きを行っている会社も多いと思われます。労使協定といえば時間外労働・休日労働について合意をとる36(サブロク)協定が最も多く、どこの会社でも締結す…

安全配慮義務違反(債務不履行)でも弁護士費用を請求可能とする判決

先月の最高裁判決です。http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20120224145519.pdf 労働者が会社の安全配慮義務違反を理由として債務不履行による損害賠償を請求した訴訟において、労働者側が要した弁護士費用を含めて会社が賠償するように命じられました。実…

女性の肩を叩いて励ました上司がセクハラと訴えられる現実

某大手企業において、部下の女性から仕事のことについて相談を受けた上司が、「気にするなよ。」と言ってポンと肩を叩き励ましたところ、翌日になって上司からセクハラを受けたと会社に訴えてきたとのこと。女性の肩を叩いて励ました上司 セクハラと告発され…

残業代抑制と事業場外みなし労働時間制

旅行会社が自社の添乗員に適用している「みなし労働時間制」が不当だとして訴えられていた裁判で、みなし労働時間は認められず、残業代を支払うよう会社に命じられる高裁判決が先日ありました。http://www.asahi.com/national/update/0307/TKY201203070586.h…

有期雇用 上限5年の法改正を批判する

いま法改正が議論されている有期雇用5年の上限規制。具体的には有期労働契約の通算期間が更新によって5年を超えた労働者から申し出があった場合、無期雇用(つまり正社員)に転換しなければならないというもの。早ければ来年の施行を目指すようですが、この…

AIJからみえてくる厚生年金基金の崩壊と加入企業の倒産危機

AIJが年金積立金を2000億円ふっとばしたものだから、全国の厚生年金基金に加入している企業はみな凍り付いたようで脱退を急ぐところもあるようですが、そうなってくると今度は別の深刻な問題が発生してきます。厚生年金基金は3階建ての公的年金制度の3階部分…

競業避止義務の有効性

少し古いニュースですが、生命保険のアリコジャパンの元執行役員が会社の競業避止義務規定に反して競合他社に転職し退職金を不支給にされた件で争われていた裁判で、会社の取り決めは無効として退職金を全額支払うよう命じられる判決が先月ありました。http:…

<過労死・過労自殺> 残業時間の上限を考える

先日ワタミの社員が長時間労働による過労自殺(うつ病)の労災認定を受けました。http://www.asahi.com/national/update/0221/TKY201202210654.htmlニュースによれば、深夜勤務で時間外労働が月100時間を超え、休憩・休日も十分にとれなかったとのこと。これ…

合同労組の団体交渉申し入れを拒否できるのか

すき家を運営するゼンショーが合同労組からの団体交渉申し入れを拒否していた件で、先日東京地裁の判決を伝えるニュースがありました。http://www.asahi.com/national/update/0216/TKY201202160656.html最近は労働組合の主流になっている合同労組の当事者性…