65歳までの再雇用義務付けを考慮した企業の賃下げが始まった

65歳までの希望者全員の雇用確保措置が来年4月から段階的に実施される見通しです(※高齢者雇用安定法の改正案)。この再雇用の義務付けは2025年まで12年間かけて1歳ずつ引き上げられていきます。さしあたり来年からは、61歳までの継続雇用が義務付けられることになります。今回の国が示した方針については以前の記事で批判したとおりです。

※以前の記事
65歳までの再雇用義務付けは間違いなく日本の経済を後退させる - 人事労務コンサルタントmayamaの視点



企業は人件費総額を簡単に変えることはできません。従ってこの法改正が企業を賃金カットや昇給の抑制、新規採用の抑制に走らせることは誰が考えたって明らかなんですが、早くもその影響を感じさせるニュースが報道されています。

※以下参照
http://www.asahi.com/business/update/0421/TKY201204200844.html


具体的には、30代半ばから50代にかけての賃金上昇幅を抑える賃金制度に移行するようで、ケースによっては以前の賃金制度に比べ年収が100万減る場合もある見通しとのことです。

養育費や住宅ローンを抱える最も生活費のかかる年齢層を直撃するようです。それを見て消費を控えたり、結婚や出産を躊躇する20代の若者層もますます増えそうです。年金支給開始年齢が将来的に70歳まで引き上げられるであろうことも、年金制度を維持する為に消費税が今後20%程度まで引き上げられることも薄々感じ取れる状況ですからね。

選挙の支持基盤が年金を受給している層や高齢者雇用確保措置の恩恵を受ける層だから、政治家が何としても高齢者の雇用を確保したい気持ちもわかりますが、あくまで制度改正を推し進める国にはそれらがもたらす影響の重大性をいま一度よく考えてほしいところです。



関連記事