時代の変化に気付かない人々

先日セクハラに関する以下のニュースを見つけました。

http://www.gifu-np.co.jp/news/kennai/20110601/201106011612_14030.shtml


ある自治体に勤務していた女性職員が懇親会でセクハラ行為をうけたとして、自治体に損害賠償を求め訴訟を起こしたのですが、その裁判で自治体側が提出した証拠が原本と違っていることが発覚したのです。



証拠の書類は懇親会における役割分担表。


上が原本。
下は自治体が裁判所に提出したもの。
「接待」の項目が抜けている。
自治体は原本と違っていることを認めており、
現在内部調査を進めている。



これはもう、何というか、相当に駄目ではないでしょうか。

職員をコンパニオン扱いしたうえに証拠改ざんとは。
彼らの頭の中はバブル景気あたりで止まっているのかもしれません。



私の実感ですが、セクハラ(セクシュアル・ハラスメント)を重要視しない企業は現在でも少なくないと思います。ですがそれに反して、セクハラが問題化したときの企業の責任はかなり重いものになってきています。

セクハラの定義は現在法律によって明確化されており、セクハラ対策として会社が講じなければならない指針を厚生労働大臣が定めています(通称「セクハラ指針」)。
指針の内容は簡単にいうと以下です。

  1. セクハラに関する会社の方針を明確にしたうえ、従業員に周知・啓発
  2. セクハラに関する苦情・相談の窓口や担当者等、必要な体制を整備
  3. セクハラが実際に生じた際の調査、処分、配転などの適切な対応


当然これらの内容はセクハラ防止規程として規定化しておく必要があると思われます。


「法令で義務付けられているとはいえ、はたしてそこまでする必要があるのか」

とお考えの方もいらっしゃると思います。


ちなみにセクハラ指針に則った対策をとらずに実際にセクハラが起きた場合、会社は民法715条不法行為使用者責任あるいは職場環境配慮義務に係る債務不履行により被害者から損害賠償を求められる可能性があります。


セクハラ対策の先送りは会社にとって確実にリスクです。
時代の変化に気付けない人々はいずれ退場を命じられる日がくるでしょう。



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