休業中・休職中の社会保険料の取扱い

東日本大震災による影響で当面事業所を休止し、従業員を休業させている会社が多数あると思われます。

休業中の補償については、ハローワークによる「失業給付の特例」、あるいは「雇用調整助成金」を利用することで、ある程度対応することが可能ですが、意外と抜けてしまうのが次の点です。



従業員を休業させても社会保険料(健康保険、厚生年金、介護保険)は当然発生します。
通常、社会保険料の従業員負担分は給料から天引きされますが、失業給付の特例を使った場合は、ハローワークから従業員本人へ給付金が直接振り込まれるため、会社が従業員負担分を徴収することができません。

1〜2ヵ月程度の休業であれば、休業明けの給料で未徴収分を控除することもできなくはありませんが、長期にわたる休業の後、従業員に対して溜まった多額の保険料をまとめて払ってくれという訳にもなかなかいきません。

年金事務所からの保険料の請求は毎月会社に普通にいきますから、従業員からきちんと徴収しておかないと、結局従業員の分まで会社が負担することになりかねません。
(※被災地の企業について社会保険料の納期限の延長措置はありますが、減免措置はありません。)
 ⇒記事執筆後、厚生労働省より減免措置が発表されました。


対策としては、休業・休職に入る前に従業員との間であらかじめ本人負担分を毎月会社に振り込む等の取り決めをしておくことです。

従業員にとっても、退職して国民健康保険国民年金に加入するより、会社に籍を残して社会保険料の半額を会社に負担してもらう方が当然メリットがあります。このことを説明してきちんと理解してもらい、従業員が自身の保険料を負担すべきことを納得した状態で振り込んでもらうのがよいでしょう。



この社会保険料の取扱いについては、震災に限らず、平常時の私傷病休職の際に傷病手当金を受給する場合についても同様のことが言えます。あらかじめ休職中の社会保険料の取扱いについて就業規則および休業・休職願の条文に規定しておくのがベストです。


ちなみに育児休業期間中は申出により社会保険料が免除になるため、この問題は生じません。

なお、労働保険料雇用保険料)については、賃金に応じて発生する保険料であるため、休業・休職中の賃金がゼロであれば従業員負担分の取扱いの問題は生じません。




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