65歳までの再雇用義務付けを考慮した企業の賃下げが始まった

65歳までの希望者全員の雇用確保措置が来年4月から段階的に実施される見通しです(※高齢者雇用安定法の改正案)。この再雇用の義務付けは2025年まで12年間かけて1歳ずつ引き上げられていきます。さしあたり来年からは、61歳までの継続雇用が義務付けられるこ…

サマータイム制度導入と就業規則の改定

ここ最近、朝6時台でも電車が心なしか混んできたように感じます。夏の節電を見据えて早くもサマータイム制度を実施し始めている会社が増えているからでしょうか。 大半の企業で導入されているサマータイム制度は、1日の労働時間数に変更はなく、始業・終業時…

退職時に有給休暇をまとめて消化したいと言われたときの対応

退職することが既に決まった従業員から年次有給休暇をまとめて申請されたとき、会社はどう対応するべきか。例えば有休がまるまる40日(つまり2年分)未消化で残っていれば、仮に労働者が30日前に退職を申し出ていたとしても、退職日までの労働日を全て有休に…

社会保険に加入しなくてもよい非常勤役員の判断基準

労災や雇用保険と異なり、社会保険(健康保険・介護保険・厚生年金)は役員(取締役・監査役)でも加入することができます。逆に言えば、社会保険は強制加入の公的保険であり、役員といえども加入するかしないかを自身では選択はできず、必ず加入することが…

JAL整理解雇「有効」判決をみて思う事

先週、会社更生手続き中の日本航空から整理解雇されたパイロット76人が解雇無効を訴えて争っていた裁判の判決が、そして翌日には同じく整理解雇された客室乗務員71人が争っていた訴訟の判決がそれぞれ東京地裁でありました。いずれも解雇は有効であると判断…

アメリカの外食産業に過労死がない理由

こんな興味深いコラムを見つけました。「アメリカの外食産業に過労死がない理由とは?」 アメリカの外食産業に過労死がない理由とは? | 冷泉彰彦 | コラム | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト 内容を簡単にまとめると、アメリカの外食産業に過労…

上司だけでなく部下・同僚からの嫌がらせもパワーハラスメント<厚労省・初の定義>

1月末に、厚生労働省(職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ)がパワーハラスメントの定義を初めて公表したことは記憶に新しいところです。さらに先日、同円卓会議によって「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言」…

解雇・会社都合退職と助成金の不支給

昨年の震災も影響してか、最近は助成金を申請する機会が少なくありません。震災関連だと雇用調整助成金(中小企業緊急雇用安定助成金)、被災者雇用開発助成金などが主なところです。助成金は経営の苦しい企業にとって一時的とはいえ救いになりますし、助成…

特別条項付き36協定の注意点

もうすぐ4月ですが、労使協定は4月1日を起算日にしている会社が多いので、ちょうど今の時期に協定の手続きを行っている会社も多いと思われます。労使協定といえば時間外労働・休日労働について合意をとる36(サブロク)協定が最も多く、どこの会社でも締結す…

安全配慮義務違反(債務不履行)でも弁護士費用を請求可能とする判決

先月の最高裁判決です。http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20120224145519.pdf 労働者が会社の安全配慮義務違反を理由として債務不履行による損害賠償を請求した訴訟において、労働者側が要した弁護士費用を含めて会社が賠償するように命じられました。実…

女性の肩を叩いて励ました上司がセクハラと訴えられる現実

某大手企業において、部下の女性から仕事のことについて相談を受けた上司が、「気にするなよ。」と言ってポンと肩を叩き励ましたところ、翌日になって上司からセクハラを受けたと会社に訴えてきたとのこと。女性の肩を叩いて励ました上司 セクハラと告発され…

残業代抑制と事業場外みなし労働時間制

旅行会社が自社の添乗員に適用している「みなし労働時間制」が不当だとして訴えられていた裁判で、みなし労働時間は認められず、残業代を支払うよう会社に命じられる高裁判決が先日ありました。http://www.asahi.com/national/update/0307/TKY201203070586.h…

有期雇用 上限5年の法改正を批判する

いま法改正が議論されている有期雇用5年の上限規制。具体的には有期労働契約の通算期間が更新によって5年を超えた労働者から申し出があった場合、無期雇用(つまり正社員)に転換しなければならないというもの。早ければ来年の施行を目指すようですが、この…

AIJからみえてくる厚生年金基金の崩壊と加入企業の倒産危機

AIJが年金積立金を2000億円ふっとばしたものだから、全国の厚生年金基金に加入している企業はみな凍り付いたようで脱退を急ぐところもあるようですが、そうなってくると今度は別の深刻な問題が発生してきます。厚生年金基金は3階建ての公的年金制度の3階部分…

競業避止義務の有効性

少し古いニュースですが、生命保険のアリコジャパンの元執行役員が会社の競業避止義務規定に反して競合他社に転職し退職金を不支給にされた件で争われていた裁判で、会社の取り決めは無効として退職金を全額支払うよう命じられる判決が先月ありました。http:…

<過労死・過労自殺> 残業時間の上限を考える

先日ワタミの社員が長時間労働による過労自殺(うつ病)の労災認定を受けました。http://www.asahi.com/national/update/0221/TKY201202210654.htmlニュースによれば、深夜勤務で時間外労働が月100時間を超え、休憩・休日も十分にとれなかったとのこと。これ…

合同労組の団体交渉申し入れを拒否できるのか

すき家を運営するゼンショーが合同労組からの団体交渉申し入れを拒否していた件で、先日東京地裁の判決を伝えるニュースがありました。http://www.asahi.com/national/update/0216/TKY201202160656.html最近は労働組合の主流になっている合同労組の当事者性…

休業手当は60%と100%どちらを支払うべきなのか

会社の事情で社員を自宅待機などにして休ませる場合に、休業手当の支払いが必要になることはご存知の方が多いと思います。この休業手当をいくら支払うべきかについては、「60%でしょ?」と思い浮かぶ方もいらっしゃるかと思いますが、実は紛らわしいことに2…

滅多に来ないが来たらただでは済まない労働基準監督署の調査 その2

前回に引き続き労働基準監督署の調査について書きます。 労基署はどのような場合に立ち入り調査(正しくは「臨検」といいます。)に来るのか。労基署が対象となる企業を任意に選んで調査する「定期監督」と、労働者の通報を受けて調査する「申告監督」があり…

滅多に来ないが来たらただでは済まない労働基準監督署の調査

一般的に経営者は税金の計算には熱心ですが、労務管理にはあまり関心がありません。従って税務署対策を普段から意識している会社は多いと思われますが、労働基準監督書の調査を意識している会社は逆に稀だと思います。例えば直近10年で税務調査が入っていな…

給与引き下げの実務

ご存じのとおり給料というものは年齢とともに上がっていくのが普通というか当然でした。年功賃金というやつです。給料が下がるなんて考えもしない時代です。ところが経済の成長がストップしたら、当然給料を上げ続ける訳になんかいきません。不況とリストラ…

社労士とその他士業の独占業務

士業には通常それぞれに認められた独占業務があります。独占業務というのは、国家資格を有し且つそれぞれの団体に登録した者でなければ行うことが許されないとされる業務です。社会保険労務士の場合はその名の通り、労働保険や社会保険の手続きに係る書類作…

65歳までの再雇用義務付けは間違いなく日本の経済を後退させる

今年初めての書き込みです。 謹んで新年のご挨拶を申し上げます。昨年は年末にかけて超多忙になり、ほとんど記事の更新ができず反省しております。今年はもっと更新頻度をあげていこうと心に誓い今年1本目の記事を書くことにします。 昨年の後半は老齢年金の…

非正規社員の定年制

期間雇用の非正規社員たちが、65歳定年制により契約更新を拒否されたのは違法だとして会社を提訴したニュースがありました。 ニュースは以下 http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_date2&k=2011120900469以下抜粋 訴状によると、郵便事業会社は民営化された200…

内定と内々定の取り消し

就職氷河期が続く昨今、やっと内定を獲得したのに企業の経営環境悪化で入社日がくる前に内定が取り消されてしまうのではないかと心配する学生も少なくないことと思います。不況を反映して最近は内定取り消しに係るトラブルが増加しています。そして今年2月、…

求人広告と実際の労働条件が違うときのポイント

求人広告を見て応募したが、入社したら求人広告に載っていた募集要項と実際の労働条件が違っていたというのはよくある話です。特によく聞くのは、「給料が聞いてたものより低かった」、「勤務時間が長い」「完全週休2日と書いてあったが、隔週で土曜出勤だっ…

就業規則がなぜ雇用契約書よりも重要なのか

最近は労働トラブルの増加が認識されてきたからなのか、従業員を採用する際に雇用契約書(または労働条件通知書・雇入通知書)をきちんと作成する企業が増えてきていると実感します。雇用契約書の確認や添削を依頼されることも少なくありません。もちろんリ…

雇入れ時の健康診断費用は誰が負担するべきか

こんな質問を受けることがあります。 ”従業員が入社する際に健康診断書の提出を求めたら、「健康診断を受診させる義務は会社にあるのだから費用は会社が出すべきじゃないのか。」と従業員に聞かれた。会社が費用を負担しなければならないのか?” 雇入時およ…

退職勧奨のリスク

サイバーエージェントが10月から導入した新しい人事制度が波紋をよんでいるようです。「ミスマッチ制度」といわれるもので、下位5%にあたるD評価を2回受けた従業員は部署異動または退職勧奨のいずれかの選択を迫られるというものです。 ※以下参照 http://he…

定年制復活は何を意味するのか

マクドナルドの定年制復活の記事は目を奪われた方も多かったのではないでしょうか。マクドナルドが当初定年制を廃止したのは、実力主義の意識を高めることが目的でした。年功序列を廃止し、その一環として定年制を廃止することによって、会社が実力本位であ…