「正社員並みパート」拡大の是非

厚生労働省で「正社員並みパート」の適用範囲の拡大が検討されているようです。パートタイマーの処遇改善を進めるのが目的で、来年の法改正を目指しているとのことです。「正社員並みパート」といわれているのは、平成20年に施行された改正パートタイム労働…

機能不全の再雇用制度

年金支給開始年齢の引き上げを本来カバーするための企業の再雇用制度は、現実にはうまく機能しているとはいえない状況に見えます。平成18年、高齢者雇用安定法が改正されたことにより、建前上はほとんどの企業において60歳定年後65歳までの継続雇用が制度化…

迫りくる年金支給開始年齢の引き上げ

年金支給開始年齢の60歳から65歳への引き上げに伴う2013年問題は思った以上に世間の関心を集めているようです。 ※以前書いた「2013年問題」に関する記事はこちらです。 若者の雇用を直撃する「2013年問題」 - 人事労務コンサルタントmayamaの視点 定年から65…

内部通報で求められる対応

上司の行動について企業に内部通報を行った社員が報復人事を受けたとして訴えた裁判で、東京高裁は社員側が敗訴した1審判決を取り消し、配置転換は人事権の濫用にあたるとして無効とし、220万円の慰謝料の支払いを命じる判決を下しました。http://www.tokyo-…

面接時の質問に注意

先日、こんなニュースを見つけました。http://www.asahi.com/national/update/0822/TKY201108220073.html 採用面接で血液型を聞かれることがあるようです。企業側はあくまでも参考程度と説明しています。(※人事労務とは関係ありませんが、医学的にはABOの血…

給与計算業務の重要性と今後

私たちの業界のベーシックな業務の1つに給与計算の代行というものがあります。 アメリカにおいては以前から自社の給与計算をアウトソーシングするのは当然の事だったのですが、近年は日本においてもアウトソーシングの流れが加速しています。 そもそも給与計…

子ども手当の廃止

民主党の目玉政策だった子ども手当が今年度限りで廃止されることが事実上決まりました。来年4月以降は児童手当を増額して復活させるとのこと。 以下、時事通信より引用 民主、自民、公明3党の幹事長・政調会長は4日午前、国会内で会談し、子ども手当の修正で…

退職金制度を考える

退職金制度改定ラッシュは落ち着いてきたようです。来年3月末で適格退職年金の税制上の優遇措置がなくなるため、多くの企業はここ数年の間に他制度への移行を終わらせたものと思われます。また、多くの企業において退職金そのものへの考え方は大きく変わり…

若者の雇用を直撃する「2013年問題」

最近、「2013年問題」の話をよく聞きます。 サラリーマンの年金の受給開始年齢が生まれた年によって60歳から65歳へ段階的に引き上げられているのは、ご存知の方も多いと思います。60歳から支給される年金は定額部分と報酬比例部分に分かれており、…

更新料「有効」 最高裁判決がもたらすもの

15日、重要な最高裁の判決がでました。気になっていた方も多かったのではないでしょうか。賃貸住宅に係る更新料の有効・無効を争う裁判です。既に地裁で10件、高裁で4件が更新料を無効と判断しており、首都圏と関西を中心に多くの訴訟が継続中でした。…

長時間労働の代償1億円の現実

先日、某居酒屋チェーンの従業員の過労死をめぐる裁判で、地裁に続き高裁でも会社側の損害賠償責任を認める判決が下されました。 以下参照 http://www.toyokeizai.net/business/strategy/detail/AC/d3524eb7d66dcf0e61e5292143ff76ef/ 心不全で死亡した従業…

労働条件通知書

労務関連で会社が従業員とトラブルになって相談を受ける際に、まずは雇用契約の内容がどうなっているかを確認することがよくあります。 労働基準法では、従業員を雇い入れる際に労働時間や賃金など一定の労働条件を書面で明示することが義務付けられており、…

社会保険に加入しないリスク

厚生労働省が非正規労働者の厚生年金の加入要件緩和を検討している件を1ヵ月前に書きました。※以前の記事 厚生年金の加入要件緩和の是非 - 人事労務コンサルタントmayamaの視点社会保険の加入義務があるにもかかわらず、その負担の大きさを理由に、従業員を…

巷で人気の労働法解説メルマガ

最近、労働法をQ&A形式で分かりりやすく解説する「365日働くルール」というメルマガが人気らしいです。発行しているのは関西の労働組合ネットワークの青年部で、昼食中に30秒で読めるメルマガが毎日配信されます。以下、ブログ参照 http://seinenuni…

精神障害による労災の増加 企業を悩ます「心の病」

14日、厚労省から2010年度の脳・心臓疾患および精神障害などの労災補償状況について発表がありました。発表によると、業務上のストレス等でうつ病などの精神疾患・精神障害を発症し、労災認定を受けた件数は308件で過去最多、さらに精神障害による労…

セクハラの労災認定

「労働トラブルで最近特に問題になっているものは何か」と聞かれれば、今ならセクハラ・パワハラと答えるかもしれません。 先ほどTBSのニュースでセクハラの労災認定についての特集を見ましたので、前回に引き続きセクハラについて書こうと思います。 以下参…

時代の変化に気付かない人々

先日セクハラに関する以下のニュースを見つけました。http://www.gifu-np.co.jp/news/kennai/20110601/201106011612_14030.shtml ある自治体に勤務していた女性職員が懇親会でセクハラ行為をうけたとして、自治体に損害賠償を求め訴訟を起こしたのですが、そ…

名ばかり管理職を甘く見てはいけない

つい最近ですが、知り合いの同業者の関与先で従業員から残業代を請求されるトラブルがありました。未払い残業代を請求されるにもパターンは色々ありますが、今回のケースは、会社が管理職にしていた社員が実態は管理職じゃないとして支払われていなかった残…

厚生年金の加入要件緩和の是非

厚生労働省が非正規労働者の厚生年金の加入要件緩和を検討しているようです。 以下参照 http://www.47news.jp/CN/201105/CN2011052101000820.html 現在のところ、1日または1週間の労働時間と1ヵ月の労働日数が正社員の概ね4分の3以上である場合、パート…

人事制度に手をつけないリストラは失敗に終わる

景気低迷が続く昨今、経営者がリストラの判断を迫られる場面は珍しくありません。 以前の記事でも触れましたが、解雇は日本ではかなり厳しく規制されています。 JALが昨年末に行った整理解雇についても不当解雇で提訴されていますが、あれだけ追い込まれた状…

話題のテレワーク(在宅勤務制度)

東日本大震災や計画停電等によって多くの通勤困難者が発生したのは記憶に新しいところですが、その影響もあって、会社に出勤せずに業務を行えるテレワーク(在宅勤務制度)が注目を集めています。 震災後、在宅勤務支援サービス(※自宅のPCから会社のPCを遠…

残業代紛争は嵐の前の静けさなのか

会社が労働者から未払い残業代の請求を受ける案件がここ数年急増しており、今後さらに増加すると言われています。その要因の1つとしてあげられるのが、大量の弁護士の参入です。 いま弁護士業界は、司法制度改革によって司法試験の合格者が急増し飽和状態に…

サマータイムの適切な運用

夏の電力不足に対応するため、サマータイム制度の導入を決める企業が増えているようです。 東京証券取引所、ソニー、森永乳業、三菱ふそう、伊藤園、コナミ、ユニチャーム、日本製紙、パナソニックが既に導入を決めていたと思います。 (伊藤園はさらにクー…

雇用調整助成金 確かに支給要件は緩和されましたが

昨日の記事に関連しますが 震災により従業員を休業させる場合の補償については、 ハローワークによる失業給付の特例か、あるいは雇用調整助成金(中小企業緊急雇用安定助成金含む)によって対応することが可能といいました。特に雇用調整助成金は支給要件の…

休業中・休職中の社会保険料の取扱い

東日本大震災による影響で当面事業所を休止し、従業員を休業させている会社が多数あると思われます。休業中の補償については、ハローワークによる「失業給付の特例」、あるいは「雇用調整助成金」を利用することで、ある程度対応することが可能ですが、意外…

年功序列という1つの時代の終焉

ご存知のとおり年功序列は崩壊したと言われています。 1990年代後半まで当たり前のように運用されてきた年功型の人事制度(厳密には職能資格制)。 様々な問題を抱えていましたが、決定的だったのは給料(基本給)を下げられなかったということでしょう…

人事労務コンサルタントは必要か

「企業の経営資源、ヒト・モノ・カネの3要素。 その中で最も重要なヒトの管理」私の業界でよく使われるフレーズです。 一般的に経営者はカネの管理に熱心だといえます。設備投資を行ったり在庫を抱えたりする企業にとって、資金繰りのプレッシャーは常につき…

4月から6月の残業と社会保険料

企業を悩ます多額の社会保険料。 現在、人件費の約15%が企業の負担する法定福利費として発生すると言われています。 早い話、正社員1人を年収400万円で雇用すると、 その人に支払う給料・賞与以外に年間約60万円の経費がかかってくるということです…

震災による整理解雇

震災の影響で解雇や雇い止めが急増しています。 地震や津波の直接的被害をうけ、事業所閉鎖あるいは無期休業に追い込まれているようなケースでは、整理解雇もやむを得ないと考えられるでしょう。 実際に私の関与先でも事業所のいくつかが壊滅し、人員調整の…

未払い残業代を「不当利得」で返還請求

最近何かと話題になる未払い残業代問題。 特に退職した従業員から訴訟を起こされる案件が増えています。 「ちなみに未払いの残業代って、昔の分まで請求できるの?」という疑問も沸いてきますが、残業代を含めた賃金の請求権は、2年間行われない場合は時効…